ホームページに Google アナリティクス 4(GA4)を入れているのに、「今月、ホームページから問い合わせが何件来たか」をGA4で答えられない――。そんな工務店は少なくありません。
原因の多くは、問い合わせにあたる行動を「キーイベント」として設定していないことです。GA4はタグを入れただけでページの閲覧などは記録しますが、どの行動が「問い合わせ」なのかは自社で指定する必要があります。
本記事では、Google公式のヘルプに書かれている手順にそって、フォーム送信・電話タップ・LINEボタンのクリックをキーイベントとして数える方法と、数字の確かめ方、よくある失敗を整理します。画面の名前はGoogle アナリティクス ヘルプ(日本語版)の表記に合わせています。
この記事のポイント
- GA4では、問い合わせのような重要な行動を「キーイベント」として印を付けないと、レポートの [キーイベント] 列に数が出ない
- フォームは「送信完了ページ(サンクスページ)の表示」をもとにイベントを作り、キーイベントにするのが基本
- 電話タップはGoogle タグ マネージャー、LINEボタンは離脱クリックのイベントを使って数えられる
- 設定は過去のデータにさかのぼらない。設定したら、すぐに自分で送信して確かめる
なぜGA4で問い合わせを数えるのか
工務店のホームページの役目は、見学会の予約や資料請求、相談の問い合わせにつなげることです。アクセス数だけを見ていても、どのページや集客経路が問い合わせにつながっているのかは分かりません。
GA4のヘルプでは、キーイベントを「ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベント」と説明しています。イベントにキーイベントとして印を付けると、そのアクションを実行したユーザーの数や、そこに至るまでに接触したチャネルの効果を確認できるようになります。
- 検索・Instagram・広告など、どこから来た人が問い合わせたかが分かる
- 施工事例やブログなど、問い合わせの前に読まれているページが分かる
- 広告費を問い合わせ数で割って、一件あたりにかかった費用を出せる
- フォームや導線を直したあとに、直す前と比べられる
関連記事:「ネット広告のムダ打ちを防ぐCPA管理|工務店が見るべき指標と改善判断」
キーイベントとは?以前の「コンバージョン」との違い
以前のGA4では、重要なイベントに「コンバージョン」として印を付けていました。現在は呼び方が整理され、ビジネスの成果にとって重要なアクションを測定するイベントは「キーイベント」、「コンバージョン」は広告キャンペーンの成果測定や入札の最適化に使う重要なアクションを指すようになっています。
古い解説記事やセミナー資料で「コンバージョン設定」と書かれているものは、今のGA4の画面では「キーイベント」の設定にあたると考えてください。
キーイベントの基本的な考え方
- 収集しているイベントであれば、どれでもキーイベントにできる
- 流れは「問い合わせにあたる行動を測るイベントを用意する → そのイベントにキーイベントの印を付ける」
- ページが表示されるたびに記録される page_view イベントをそのままキーイベントにはできない(すべてのページビューが数えられてしまうため)
工務店サイトで数えるべき「問い合わせ」の行動
工務店のホームページでは、問い合わせの入口が一つとは限りません。まずは自社サイトにある入口を書き出し、それぞれをどの方法で数えるかを決めます。
| 数える行動 | おすすめの数え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 問い合わせ・資料請求・見学会予約などのフォーム送信 | 送信完了ページ(サンクスページ)の表示をもとにイベントを作る | 送信後にURLが変わらないフォームでは、この方法が使えない |
| スマホでの電話番号のタップ | Google タグ マネージャーで tel: リンクのクリックをイベントとして送る | 数えられるのはタップした回数で、実際に通話したかどうかは分からない |
| LINE公式アカウントの「友だち追加」ボタンのクリック | GA4が自動で記録する離脱クリックのイベントをもとにイベントを作る | 数えられるのはボタンのクリックで、友だち追加が完了したかどうかは分からない |
フォームの種類が複数ある場合(問い合わせ・資料請求・見学会予約など)は、送信完了ページが分かれていれば、それぞれ別のイベントにしておくと、あとで内訳を見られます。
イベント名の付け方
フォームの送信には、Googleがあらかじめ用意している「推奨イベント」の generate_lead(ユーザーが問い合わせのためにフォームまたはリクエストを送信したとき)を使うのがおすすめです。ヘルプのチュートリアルでも、送信完了ページの例でこの名前を使っています。
電話タップやLINEボタンには推奨イベントがないので、自社で名前を決めます(例:tel_tap、line_click)。イベント名は英字で始め、英数字とアンダースコアだけを使い、スペースは使えません。また、大文字と小文字は区別されます。
設定の前に確認しておくこと
- GA4の権限:イベントにキーイベントとして印を付けるには、マーケティング担当者以上の権限が必要です。画面に [イベントを作成] ボタンが出ないときは、必要な権限が付与されていません
- 送信完了ページのURL:自社のフォームから実際にテスト送信して、送信後に表示されるページのURLを控えておきます
- 拡張計測機能:[管理] の [データの収集と修正] → [データ ストリーム] でストリームを開き、[拡張計測機能] がオンになっているかを確認します。LINEボタンの計測で使う離脱クリックは、この機能で記録されます
- 個人情報を送らない:送信完了ページのURLに名前やメールアドレスが含まれる作りになっていないかを確認します。Googleは、個人を特定できる情報が収集されないようにする必要があるとしています
送信後にURLが変わらず、同じページに「送信しました」と表示されるだけのフォームもあります。その場合は、ホームページの制作会社に「送信完了ページへ移動する作りにできるか」を相談するか、Google タグ マネージャーでの計測を検討します。
手順1:フォーム送信完了をキーイベントにする
いちばん基本の設定です。送信完了ページが表示されたときに新しいイベント(generate_lead)が記録されるようにし、それをキーイベントにします。ウェブサイトのコードを変更する必要はありません。
GA4の画面での手順(コードなしで作成)
- [管理] 画面の [データの表示] で [イベント] をクリックする
- [+ イベントを作成] をクリックする
- [イベント名] に「generate_lead」と入力し、[キーイベントとしてマークを付ける] の横にある切り替えボタンをクリックする
- [イベントの作成方法の選択] で [コードなしで作成] を選ぶ
- [新しいイベントのトリガーとして使用する既存のイベントを特定します] の [イベント名] で [page_view] を選ぶ
- [URL] に、控えておいた送信完了ページのURLを入力する
- [作成] をクリックする
作ったイベントは [カスタム イベント] 表に表示されますが、イベントが処理されるまでは [最近のイベント] 表には出てきません。作成した直後に一覧に見当たらなくても、慌てて同じイベントを作り直さないようにしましょう。
キーイベントの切り替えをオンにし忘れた場合は、あとから [管理] → [データの表示] → [イベント] で該当のイベントを探し、イベント名の横にあるスターアイコンをクリックすれば、キーイベントとして印を付けられます。
問い合わせは1回の訪問で何度も送られるものではありませんが、カウント方法はGoogleが推奨する「イベントごとに1回」のままで問題ありません。ほかに「セッションごとに1回(従来版)」も選べ、[キーイベント] タブの各行の右端から変更できます。
関連記事:「工務店のHP離脱を防ぐ!問い合わせフォーム改善とEFOでコンバージョンを2倍にする基本チェックリスト」
手順2:LINEボタンのクリックをキーイベントにする
拡張計測機能がオンなら、GA4は、ユーザーが現在のドメインから別のウェブサイトへ移動するリンクをクリックするたびに「click」という離脱クリックのイベントを記録しています(日本語版のヘルプでは、イベント名の欄が「クリック」と訳されています)。このとき、クリックしたリンクのURL(link_url)もパラメータとして一緒に記録されます。
LINE公式アカウントの友だち追加ボタンは、多くの場合LINEのURLへのリンクです。そこで、このclickイベントのうちリンク先がLINEのURLのものだけを、新しいイベントとして切り出します。
GA4の画面での手順(既存のイベントから作成)
- 自社サイトの友だち追加ボタンのリンク先URLを確認し、URLに含まれる共通の文字列を控えておく
- [管理] 画面の [データの表示] で [イベント] をクリックする
- [イベントを作成]、[作成] の順にクリックする
- [カスタム イベント名] に、命名規則にそったイベント名(例:line_click)を入力する
- [一致する条件] で「event_name が click と等しい」と「link_url が(控えた文字列)を含む」の2つを指定する
- [作成] をクリックする
- イベントが記録されはじめたら、[イベント] の一覧でline_clickの横のスターアイコンをクリックし、キーイベントにする
ヘルプでは、イベントの変更や新規作成が有効になるまで1時間以上かかること、過去のデータには適用されないことが明記されています。また、元になる click や page_view のイベント自体を書き換える「変更」ではなく、それをもとに新しいイベントを「作成」するほうを選んでください。page_view を変更すると、他のページのページビューが集計されなくなるおそれがあると注意書きがあります。
手順3:電話番号のタップをキーイベントにする
スマホで電話番号をタップすると発信できるリンク(tel: で始まるリンク)は、公式ヘルプの離脱クリックの説明が「別のウェブサイトへ移動するリンク」を対象としていて、tel: リンクが含まれるかどうかは書かれていません。そこで本記事では、Google タグ マネージャー(GTM)のクリック トリガーで数える方法を紹介します。サイトにGTMを導入していて、GA4もGTM経由で設定していることが前提です。
Google タグ マネージャーでの手順
- GTMのコンテナを開き、[ワークスペース] タブの [タグ] で [新規] をクリックする
- [Google アナリティクス: GA4 イベント] を選び、[測定 ID] にGA4の測定IDを、[イベント名] に「tel_tap」などを入力する
- タグの [トリガー] をクリックし、新しいトリガーを作る
- [トリガーの設定] でクリックのトリガーの [リンクのみ] を選ぶ
- [一部のクリック] を選び、条件を「Click URL」「含む」「tel:」にする
- 保存し、[プレビュー] で電話番号をタップしてタグが動くことを確かめてから公開する
- GA4の [イベント] の一覧にtel_tapが出てきたら、スターアイコンでキーイベントにする
イベントがまだ届いていない段階でも、[管理] → [データの表示] → [イベント] の [+ イベントを作成] から同じ名前のイベントを用意して [キーイベントとしてマークを付ける] をオンにしておけば、収集された時点でキーイベントとして扱われます。
GTMを使っていない場合は、無理に自分で設定せず、ホームページの制作会社に「電話番号のタップをGA4のイベントとして送ってほしい」と依頼するのが確実です。
設定できたかを確かめる方法と、数字の見方
まずはリアルタイム レポートで自分で試す
設定したら、スマホやパソコンから自社のフォームを実際に送信し、電話番号やLINEボタンもタップしてみます。[レポート] → [リアルタイム] を開き、[イベント名ごとのキーイベント数] のカードに generate_lead などが出てくれば、キーイベントとして扱われています。
ヘルプによると、キーイベントの印を付けてから設定が適用されるまでには数分から数時間かかることがあります。うまく出ないときは、少し時間をおいてもう一度試します。タグの細かな動きを確かめたい場合は、Google Tag Assistant でデバッグモードを有効にしてから [DebugView] を使う方法もあります。
毎月の件数と、どこから来たかを見る
- 件数の合計:[管理] → [データの表示] → [イベント] の [キーイベント] タブで、キーイベントごとの回数を確認できる。期間は右上で変えられる
- どこから来たか:[レポート] → [集客] → [トラフィック獲得] を開き、[キーイベント] 列の [すべてのイベント] メニューから generate_lead などを選ぶと、自然検索・SNS・広告といった経路ごとの件数が見られる
- どのページが入口だったか:ランディング ページのレポートにも [キーイベント] 列があり、最初に見られたページごとの件数を確認できる
キーイベントの印を付けてから標準レポートに表示されるまでには、最大24時間かかります。設定した当日に標準レポートにまだ数字が出ていなくても、まずはリアルタイム レポートの結果で判断しましょう。
関連記事:「施工事例から問い合わせにつなげる工務店サイトの内部リンク設計術」
よくある失敗と対処法
page_view をそのままキーイベントにしてしまう
page_view にキーイベントの印を付けると、すべてのページビューが数えられてしまいます。ヘルプでも、この方法は取れないと説明されています。必ず「送信完了ページのURL」で絞り込んだ新しいイベントを作りましょう。
送信完了ページのURLが合っていない
テスト環境のURLを入れてしまった、末尾の「/」の有無が違う、といった小さな違いで、イベントがまったく記録されないことがあります。設定したら必ず本番のフォームから送信し、リアルタイム レポートで確かめます。一致条件の演算子によって大文字と小文字を区別するかどうかが変わる点も、ヘルプで説明されています。
過去の分まで数えられると思っている
キーイベントの設定やイベントの作成は、設定した後のデータにだけ反映され、過去のデータは変わりません。「先月の問い合わせ件数をGA4で知りたい」と思っても、設定前の分はさかのぼれません。気づいた日にすぐ設定することが大切です。
自社のテスト送信や社内のアクセスが混ざる
設定の確認で送ったテストも、キーイベントとして記録されます。件数が少ないうちは、テストした日時をメモしておき、月の集計から差し引くようにしましょう。社内のアクセスを継続的に分けたい場合は、[データ ストリーム] の [タグ設定を行う] から内部トラフィックを定義し、データフィルタで除外する方法があります。ただし、除外フィルタで除外したデータはあとから戻せないとされているので、慎重に設定してください。
同じ問い合わせを二重に数えている
拡張計測機能には、フォームの送信を記録する form_submit というイベントもあります。form_submit と generate_lead の両方にキーイベントの印を付けると、1回の問い合わせが2つのキーイベントとして集計されます。どちらで数えるかを決め、「問い合わせ件数」として見るのは一つにしぼりましょう。
GA4の数字と実際の問い合わせ件数がずれる
GA4で数えられるのは、あくまで「サイト上でその行動が起きた回数」です。電話タップは通話の件数ではなく、LINEボタンのクリックは友だち追加の件数ではありません。月に一度は、メールで届いた問い合わせや電話の受付記録と見比べ、GA4の数字がどのくらい実態に近いかを把握しておくと、数字を判断に使いやすくなります。
このほか、標準プロパティでキーイベントの印を付けられるイベントは最大30個までです。問い合わせの計測であれば上限に届くことはまずありませんが、思いつくイベントに何でも印を付けるのではなく、「問い合わせ」と呼べる行動にしぼっておくと、レポートが読みやすくなります。
問い合わせを数えられるようになったら
件数が取れるようになると、ホームページの改善を「感覚」ではなく数字で判断できるようになります。たとえば次のような使い方です。
- フォームの入力項目を減らすなど、フォームを直した前後で件数を比べる
- 施工事例やブログから問い合わせページへのリンクを見直し、入口になっているページを増やす
- 広告を出している場合は、GA4のキーイベントをもとに広告からの問い合わせ件数と一件あたりの費用を確認する
GA4のキーイベントは、Google 広告のコンバージョンの作成にも使えます。広告を運用している場合は、GA4と広告の管理画面で同じ数え方をそろえておくと、データの食い違いを減らせます。
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まとめ
- GA4を入れただけでは、問い合わせ件数は出ない。問い合わせにあたる行動をキーイベントとして設定する
- フォーム:送信完了ページの page_view をもとに generate_lead を作り、キーイベントにする
- LINEボタン:離脱クリック(click)のうちリンク先がLINEのものを切り出してキーイベントにする
- 電話タップ:Google タグ マネージャーで tel: リンクのクリックを送り、キーイベントにする
- 設定はさかのぼらない。設定したら当日中にテスト送信し、リアルタイム レポートで確かめる
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出典(2026年11月3日に確認)
- Google アナリティクス ヘルプ「キーイベントについて」
- Google アナリティクス ヘルプ「Google アナリティクスのコンバージョンとキーイベント」
- Google アナリティクス ヘルプ「イベントにキーイベントとしてマークを付ける」
- Google アナリティクス ヘルプ「キーイベントを作成または変更する」
- Google アナリティクス ヘルプ「チュートリアル: キーイベントを設定する」
- Google アナリティクス ヘルプ「イベントの名前を変更して新しいイベントを生成する」
- Google アナリティクス ヘルプ「キーイベントのカウント方法を変更する」
- Google アナリティクス ヘルプ「拡張計測機能イベント」
- Google Analytics Help「Enhanced measurement events」(英語版)
- Google アナリティクス ヘルプ「推奨イベント」
- Google アナリティクス ヘルプ「イベントの命名規則」
- Google アナリティクス ヘルプ「リアルタイム レポート」
- Google アナリティクス ヘルプ「DebugView でイベントをモニタリングする」
- Google アナリティクス ヘルプ「トラフィック獲得レポート」
- Google アナリティクス ヘルプ「内部トラフィックの除外」
- タグ マネージャー ヘルプ「タグ マネージャーで Google アナリティクス イベントを設定する」
- タグ マネージャー ヘルプ「クリック トリガー」

