工務店やリフォーム会社では、電動工具や測量機器、仮設機材など、現場を回すための設備投資が避けられません。一方で「購入すべきか」「リースにすべきか」の判断が曖昧なまま、過去の慣習や担当者の感覚で決めてしまっているケースも多く見られます。
その結果、毎月のキャッシュフローが圧迫されたり、減価償却の管理が属人化したりと、経営・会計面でじわじわと負担が積み上がります。特に現場が忙しい時期ほど設備投資の判断が後回しになりやすいのが、建設業の現実です。

「急ぎで必要だったから、とりあえず購入したけど、今はあまり使っていない工具が倉庫に眠っています」



「リースって結局高くつくイメージがあって、判断基準がよく分からないです」
本記事では、工具・機材のリースと購入を数字と運用の両面から整理し、社内で判断を共有できる形に落とし込みます。
なぜ建設業では設備投資の判断がブレやすいのか


建設業における設備投資の判断が難しい理由は、単純な価格比較では済まない点にあります。工具や機材は「何年使うか」「どの現場で使うか」「技術進化のスピードはどうか」といった不確定要素が多く、購入時点では将来の利用頻度を正確に読めません。
また、現場責任者は使い勝手や即応性を重視し、経営側はキャッシュと税務を重視するため、判断軸が噛み合わないことも多いです。このズレを放置すると「現場主導で購入が続く」「経理が後追いで処理する」といった属人化が進みます。
- 現場ごとに必要な工具が違い、標準化しにくい
- 緊急対応が多く、比較検討の時間が取れない
- 減価償却やリース料の扱いを理解している人が限られる
リースと購入の基本的な違いを整理する
まずはリースと購入の違いを、感覚ではなく構造で整理します。リースは月額で使用権を借りる契約、購入は所有権を持つ代わりに初期費用が発生する方法です。
| 項目 | リース | 購入 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 原則不要 | 高額になりやすい |
| 月々の負担 | 一定額 | なし(購入時のみ) |
| 会計処理 | 全額経費処理 | 減価償却が必要 |
| 更新・入替 | 契約更新で対応しやすい | 自社判断で買替 |
全額経費処理とは、支払った金額をその年の経費として処理できることを指します。リース料は原則これに該当するため、利益調整がしやすい点が特徴です。一方、購入は資産計上され、数年かけて経費化されます。
重要なのは「どちらが安いか」ではなく、「自社の使い方に合っているか」です。短期間しか使わない機材を購入すると、結果的にコストが割高になります。
コスト比較シミュレーションで見る判断基準


ここでは具体的な数字で比較します。例えば、購入価格100万円の測量機器を5年間使用するケースを想定します。
- 購入:100万円を5年で減価償却(年間20万円)
- リース:月額2.2万円×60か月=132万円
単純合計では購入の方が安く見えます。ただし、ここには保守費用や故障時対応、技術陳腐化のリスクが含まれていません。最新機種への更新が必要な場合、購入は追加投資が発生します。
工務店で失敗しやすい判断パターン


現場でよくある失敗は「とりあえず購入」「前と同じ方法を踏襲」です。特に繁忙期は判断が雑になりがちです。
- 使用頻度を把握せずに高額機材を購入
- 複数現場で同時に使えず追加購入
- 減価償却期間中に使わなくなる
これを防ぐには、事前に「何年・何現場で使うか」を言語化することです。感覚ではなく、数字と条件で整理することで判断が安定します。
社内で使える判断テンプレと運用ルール
最後に、社内で共有できる判断テンプレを示します。このレベルまで落とし込むことで属人化を防げます。
【判断テンプレ】①使用期間(年)②使用現場数③年間使用回数④更新頻度⑤保守費有無 を記入して比較する
このテンプレを使い、一定条件を満たす場合はリース、長期・高頻度なら購入とルール化します。保存場所は社内共有フォルダにし、更新時は必ず上書きする運用にします。
まとめ:数字と運用で設備投資を安定させる
工具・機材をリースするか購入するかは、正解が一つではありません。重要なのは、判断基準を数字と条件で明文化し、社内で共有することです。これにより、現場と経営のズレを減らし、キャッシュフローと業務効率の両立が可能になります。
本記事で紹介した比較視点とテンプレを使えば、次回の設備投資から迷いが減ります。まずは一つの工具から試し、判断プロセスを社内に定着させていきましょう。







