「せっかく採用した若手が2〜3年で辞めてしまう」「育てたいが、何を基準に評価すればいいのかわからない」──こうした悩みは、多くの工務店・リフォーム会社で日常的に起きています。
特に中小規模の会社では、評価や育成が「社長や上司の感覚」に依存しやすく、将来像が見えないことが離職につながりがちです。現場で一生懸命やっていても、「この先どうなれるのか」が本人に伝わっていないケースは少なくありません。
そこで重要になるのが、役割・成長段階・評価基準を見える化する「キャリアパスシート」です。難しい制度設計は不要で、現場に合った形で作れば、採用・育成・定着を一気に改善できます。

若手に「この会社で成長できるのか」と聞かれても、うまく説明できないんです。



キャリアパスって大企業向けの制度ですよね?うちみたいな規模でも必要なんでしょうか。
キャリアパスシートは「辞めさせないための評価表」ではなく、「続ける理由を共有するための道しるべ」です。
なぜ工務店で人が辞めてしまうのか


離職理由としてよく挙がるのは「給料」「人間関係」ですが、実務を見ていくと本質は別のところにあります。それは「この先どうなるかわからない」という不安です。
- 何年働けば、どんな仕事を任されるのかが見えない
- 評価基準が曖昧で、頑張りが伝わっているのかわからない
- 先輩や上司の成長ルートが説明されていない
これらが重なると、「ここにいても将来が想像できない」と感じ、転職を考えるようになります。特に若手ほど、給与額そのものよりも「伸びしろ」や「先の見通し」を重視する傾向があります。
キャリアパスシートとは何か
キャリアパスシートとは、社員の成長段階を整理し、「今どの位置にいて、次に何を目指すのか」を可視化したシートです。難しい専門用語に聞こえますが、要は「成長の地図」です。
例えば現場監督であれば、「見習い → 一人現場担当 → 複数現場管理 → 後輩指導」といった段階を整理し、それぞれで求める役割を言語化します。
| 項目 | 明確にする内容 |
|---|---|
| 役割 | その段階で会社から期待する仕事 |
| スキル | 身につけてほしい業務能力 |
| 評価視点 | 何ができれば次に進めるか |
| 処遇 | 昇給・手当・役職などの目安 |
これにより、本人も上司も「何を頑張ればいいのか」が共通認識になります。
キャリアパスシート作成の手順


ステップ1:職種ごとに役割を整理する
まずは職種ごとに分けます。営業、現場監督、大工、事務など、「実際に役割が違う単位」で整理することが重要です。
ステップ2:成長段階を3〜4段階に分ける
最初から細かく分ける必要はありません。「初級・中級・上級」程度で十分です。現場感覚に合わない細分化は、運用されなくなります。
ステップ3:できることを具体的に書く
「成長している」「戦力になっている」といった抽象的な表現は避け、「一人で見積説明ができる」「近隣挨拶を任せられる」など、行動で表現します。
社内で使えるキャリアパスシートテンプレ
【キャリアパスシート例:現場監督】
初級:先輩の補助として現場に入り、工程表を理解している
中級:一人で現場管理ができ、施主・職人と調整できる
上級:複数現場を管理し、後輩の指導ができる
このように文章で整理するだけでも、評価面談や日常の声かけが大きく変わります。
運用で失敗しないための注意点


キャリアパスシートは「作って終わり」にすると意味がありません。失敗しやすいポイントも押さえておきましょう。
- 昇給や評価とまったく連動していない
- 上司ごとに解釈が違う
- 更新されず、現状とズレている
年1回でもよいので、評価面談とセットで見直す仕組みを作ることが重要です。
まとめ|辞めないチームは「道筋」を共有している
人が辞めない会社は、特別な福利厚生があるわけではありません。「ここでどう成長できるのか」を、会社と本人が共有できています。
- 将来像を言葉にして伝える
- 評価の基準を見える化する
- 成長を一緒に確認する
キャリアパスシートは、そのための実務ツールです。まずは簡単な形で作り、社内で回しながら育てていきましょう。








