兵庫県内でリフォーム提案をしていると、補助金は「知っている人だけが得をする情報」になりやすいです。担当者の記憶や経験に依存すると、提案が属人化し、見積と申請の段取りが後手に回り、結果として受注機会を落とします。
特に耐震や省エネの案件は、工事範囲・申請窓口・必要書類が分かれ、現場と事務の認識差が起きます。「対象になると思って話を進めたが、条件が合わず申請できない」が最も起きやすい躓きどころです。先に判断軸を固定し、社内の運用に落とし込むと、説明のブレが消え、提案の速度が上がります。

耐震の相談が増えたのに、補助金の説明が毎回ちがってしまい、成約までが長引きます。担当者が変わると提案が止まります。



国の省エネ補助があるなら、自治体の補助は不要だと思っていました。どれか1つしか使えないですか。
この記事では、兵庫県・神戸市で頻出する補助金を「提案に変える」ための判断軸と、社内で回す運用テンプレを整理します
兵庫の補助金は「知識」ではなく「提案商品」として設計しましょう


補助金は、情報を集めるだけでは売上に直結しません。工務店として価値になるのは「お客様の不安を解消し、意思決定を前に進める設計」です。補助金を提案商品として扱うと、商談の論点が揃い、見積の根拠が明確になり、相見積でも比較されにくくなります。
現場で失敗しやすいのは、制度名や上限額だけを暗記し、条件確認を後回しにする運用です。補助金は年度で要件が変わるため、数字の暗記はすぐにズレます。数字ではなく「対象の建物」「対象の工事」「申請のタイミング」「窓口」を固定の順番で確認すると、判断が安定します。
運用イメージは、初回ヒアリングの段階で「対象判定の仮説」を立て、現地調査で確定し、見積に反映させる流れです。事務は申請書類の準備と期限管理に集中し、営業はお客様への説明と意思決定支援に集中できます。担当者が変わっても同じ説明ができる状態を作りましょう。
【判断の順番テンプレ】
①建物の所在地(市町)
②建物種別(戸建・長屋・共同住宅等)
③建築時期(旧耐震の可能性)
④工事目的(耐震・省エネ・バリアフリー等)
⑤工事時期(着工前か)
⑥窓口(市か県か国か)
⑦必要書類(診断・図面・見積・写真)
⑧申請期限(受付枠・先着の有無)
補助金は「制度名」ではなく、対象・工事・タイミング・窓口を固定順で確認し、提案フローに組み込みましょう
耐震は兵庫県と神戸市の二段構えで提案の軸が作れます
兵庫県内では、木造住宅の耐震化を後押しする県の枠組みがあり、市町ごとの制度と組み合わせて提案する場面が多いです。耐震は「安心の説明」が中心になり、価格競争だけに巻き込まれにくい領域です。耐震診断から改修設計、工事までを一気通貫に見せると、受注の確度が上がります。
神戸市の「無料耐震診断」から改修補助までの導線
神戸市では、旧耐震の可能性がある住宅を対象に、耐震診断員を派遣する無料耐震診断の導線があります。耐震診断は「建物の地震への強さを建築士が確認し、危険度と改善案を整理する作業」です。ここを入口にすると、お客様は費用を抑えて現状把握ができ、工務店側は改修計画の合意形成がしやすくなります。
失敗しやすいのは、診断前に改修プランを作り込みすぎることです。診断結果で必要な補強が変わるため、最初は「診断→方針決め→概算→詳細設計」の順で進めると手戻りが減ります。営業は「まず診断で危険度を見える化し、次に必要最小限の補強から検討する」説明に揃えましょう。
危険ブロック塀撤去など、周辺リスクも同時に拾いましょう
耐震の相談では、建物本体だけでなく、敷地内の危険ブロック塀の撤去など周辺リスクも論点になります。ブロック塀は「倒れたときに通行人へ被害が出やすい外構の構造物」です。神戸市には危険ブロック塀等の撤去費用の一部を助成する制度があります。耐震と外構をセットで点検し、必要な範囲を整理すると、提案の信頼が上がります。
現場での注意点は、外構工事を別発注にしてしまい、写真や撤去範囲の記録が不足することです。補助申請は「工事前後の根拠」が重要なので、工程表と写真台帳を最初に作り、誰が撮るかまで決めましょう。事務は写真不足が起きやすいポイントをチェック項目化すると回ります。
【現地調査ヒアリング項目テンプレ(耐震)】
①建築時期と増改築歴
②図面の有無
③基礎のひび割れ・沈下
④壁量の偏り(大開口・吹抜)
⑤屋根材の種類(重い瓦等)
⑥シロアリ・腐朽の有無
⑦外構(危険ブロック塀・擁壁)
⑧居住しながら工事の可否
⑨希望する工期と予算感
⑩将来計画(売却・同居・相続)
耐震は「診断で現状を確定→改修方針→記録と申請」をセット運用にし、外構リスクまで同時に拾いましょう
県産木材の制度は「見える化設計」を提案に組み込むと強いです


兵庫は県産木材の活用施策があり、木の家の価値を説明しやすい地域です。県産木材の制度は、単に木を使う話ではなく「見える設計」とセットで語ると差別化になります。木材の見える化は「梁や柱など構造や内装で木が目視できる状態に設計すること」です。完成後に伝わる価値を、設計段階で作り込めます。
「ひょうごの木の家」設計支援は、工務店の提案準備費を守ります
県産木材を一定割合以上使い、木が見える設計を行う新築木造住宅の設計費用を支援する枠があります。設計支援は「設計段階のコストを補助して、県産木材の採用を後押しする制度」です。工務店にとっては、提案の初期段階で工数が膨らみやすい部分を守りやすくなります。
失敗しやすいのは、木材使用率の根拠が曖昧なまま話を進めることです。見積・仕様・数量の整合が取れないと、申請資料が作れません。最初から「どの部位にどれだけ県産材を使うか」を部位別に整理し、現場と事務が同じ表を見て確認しましょう。
「ひょうごの木」を見せる現場運用は、のぼり・見学会まで含めて設計しましょう
県産木材の支援では、普及の観点で現場掲示や見学会などの取り組みが求められる場面があります。見学会は「実物を見せて木の質感や空間の違いを体験してもらう機会」です。工務店の集客導線にもなります。補助金の要件を満たすだけで終わらせず、集客とセットにすると投資対効果が上がります。
改善のコツは、現場側の負担を増やさない仕組みにすることです。掲示物の準備、写真撮影、見学会の案内文までをテンプレ化し、現場監督が都度考えなくても回る状態を作ります。広報がいない会社でも、事務が雛形を持っていれば実行できます。
【県産木材提案の説明テンプレ(お客様向け)】県産木材を使う目的は、地元の山の循環を回し、品質が追える材料で家をつくることです。梁や柱など「見える部分」に木を出す設計にすると、完成後も質感が伝わり、飽きにくい空間になります。材料の選定と見える化設計は、仕様書と部位表で根拠を揃えて進めます。
県産木材の制度は「使用率の根拠」と「見える化設計」を部位表で固定し、現場掲示や写真運用までテンプレ化しましょう
省エネ国補助は「自治体補助と競合」ではなく「役割分担」で組み立てます
省エネの国補助は制度が大きく、名前だけが先行して誤解が増えます。省エネ補助は「断熱や設備更新など、エネルギー消費を減らす工事に対する支援」です。自治体の耐震や外構の助成とは対象工事が異なるため、同じ工事に二重で充てない限り、役割分担で組めるケースがあります。ここを整理して説明できると、商談が前に進みます。
お客様が誤解しやすいポイントは「対象工事の区分」です
よくある誤解は「省エネ補助があるなら全部カバーされる」という理解です。実際は、対象工事が区分され、要件を満たす組み合わせが必要な場面があります。ここで工務店がやるべきことは、制度の名称を説明することではなく、「今回の工事の内訳を区分に当てはめ、対象外も含めて総額を見える化すること」です。
失敗しやすいのは、契約後に「その工事は対象外だった」と判明することです。契約前に、工事項目を「補助対象」「対象外」「要確認」に分け、要確認は窓口や交付要領を確認してから確定しましょう。要確認を残したまま値引き説明をすると、後から揉めます。
耐震・木材・省エネを一枚で見せると意思決定が速くなります
複数制度が絡む案件では、説明資料が分散するとお客様が判断できません。ハイブリッド構成で「本文+箇条書き+補足解説」を入れ、商談の場で一枚で説明できるようにしましょう。
- 耐震:建物の安全性を上げる工事(診断→計画→改修)
- 外構:危険ブロック塀など周辺リスクの解消
- 木材:県産木材の採用と見える化設計で価値をつくる
- 省エネ:断熱・設備更新で光熱費と快適性を改善する
- 補助金:同じ工事に二重充当しない範囲で役割分担して設計する
補足解説として、商談では「どの工事が安全性に効くのか」「どの工事が暮らしの快適性に効くのか」を分けて説明します。安全性は耐震、快適性は省エネ、住まいの魅力は木材、敷地の安全は外構という役割に分けると、提案が整理され、優先順位も決めやすくなります。
【補助金の使い分け説明テンプレ(社内用)】同じ工事項目に補助金を二重で充当しません。耐震・外構・木材・省エネの目的ごとに工事項目を区分し、対象・対象外・要確認を先に整理します。要確認は窓口確認後に確定し、確定前に値引きや補助見込みを断定しません。
国補助と自治体補助は「競合」ではなく、工事目的で区分し、二重充当を避ける設計で説明を一本化しましょう
補助金を回す社内フローを固定し、担当交代でも崩れない仕組みにします


補助金提案が定着しない原因は、制度の難しさではなく、社内の役割分担が曖昧なことです。申請は「着工前の手続き」が基本になり、現場が走り出してからでは間に合いません。営業・現場・事務の役割を固定し、誰が何をいつまでにやるかを表で見える化しましょう。
役割分担は「誰が判断し、誰が集め、誰が提出するか」で切ります
判断は営業だけが持つと事故が増えます。判断は「基準に照らして対象かどうかを確定する作業」です。現場は写真と工事根拠、事務は書類と期限、営業は説明と合意形成という切り方にすると、抜け漏れが減ります。小規模事業者でも、役割が兼務でもよいので、責任の所在だけは固定しましょう。
表で「できること/できないこと」を先に共有すると揉めません
補助金は「できること」と「できないこと」を先に言語化しないと、期待値が膨らみます。下表を社内の共通言語にし、初回商談の説明にも流用しましょう。
| 区分 | できること | できないこと | 運用ルール(社内) |
|---|---|---|---|
| 対象判定 | 所在地・建物種別・建築時期・工事目的で一次判定する | 根拠資料なしで「必ず通る」と断定する | 一次判定はヒアリング票、確定は現調・窓口確認で行う |
| 見積 | 工事項目を区分し、対象・対象外・要確認を分ける | 補助見込みを値引きとして先に差し引く | 補助金は別欄で見込みとして表示し、確定後に反映する |
| 現場記録 | 工事前後の写真、工程、仕様の根拠を残す | 写真不足のまま完了検査を迎える | 写真台帳の撮影担当とタイミングを工程表に組み込む |
| 申請提出 | 着工前に必要書類を揃え、期限内に提出する | 着工後に遡って申請する | 契約前に申請スケジュールを説明し、着工日を固定する |
【社内稟議・案件登録テンプレ】案件名/住所(市町まで)/建物種別/建築時期(不明なら推定根拠)/工事目的(耐震・外構・木材・省エネ)/対象判定(対象・対象外・要確認)/窓口(市・県・国)/申請期限/着工予定日/必要書類(図面・写真・見積・診断)/担当(営業・現場・事務)/リスク(要確認事項と確認期限)
まとめ|補助金は兵庫らしさを提案の武器にし、社内で回して定着させましょう
兵庫県・神戸市の補助金は、耐震の安心、危険ブロック塀のリスク解消、県産木材の価値、省エネの快適性という「目的の違い」で整理すると分かりやすいです。制度名や金額ではなく、対象・工事・タイミング・窓口を固定順で確認する判断軸にすると、説明のブレが消えます。
明日から試せる一歩は、ヒアリング項目テンプレを初回相談に入れ、一次判定を必ず記録することです。次に、工事項目を区分して「対象・対象外・要確認」を見積の前に揃えましょう。これだけで手戻りとクレームが減ります。
社内共有は、表と稟議テンプレを1枚にまとめ、営業・現場・事務の全員が同じ資料を見る状態にすると定着します。補助金を「担当者の知識」から「会社の運用」に変え、兵庫らしい提案で受注を積み上げましょう。
判断軸を固定し、テンプレと表で社内運用に落とし込むと、兵庫の補助金は提案の武器として継続的に機能します









