Googleビジネスプロフィールの口コミは、紹介や相見積の比較検討で必ず見られます。特に工務店・リフォーム会社は「高額」「工期が長い」「現場対応が多い」ため、1件の低評価でも不安が膨らみやすいです。ところが現場は動いていて、事務は見積や請求で手一杯になり、返信が後回しになりがちです。
さらに厄介なのは、低評価の内容が「事実」「行き違い」「感情」「誤解」「第三者の書き込み」が混ざりやすい点です。そのまま謝る、反論する、詳細を書き込むのどれも、やり方を間違えると火に油になります。
一方で、返信は「お客様本人」よりも「これから依頼する見込み客」に向けた公開文章です。現場での改善姿勢と連絡導線を示せば、クレームは信頼の根拠に変えられます。

悪い口コミが付いたら、まず謝るべきですか。放置するともっと悪く見えますか。



具体的なやり取りを全部書いて反論すれば、誤解は解けますよね。うちが悪くない場合は強く言ってもいいですか。
この記事では、低評価口コミに対して「公開で書くこと/書かないこと」を線引きし、社内で迷わず返信できるテンプレと運用ルールを整理します。
低評価口コミは「放置」と「反射返信」が最も危険です


返信の目的は「見込み客の不安を消すこと」です
低評価口コミへの返信は、書き込んだ本人への説得だけが目的ではありません。工務店の場合、口コミを見るのは「これから依頼する見込み客」です。見込み客が知りたいのは、トラブルがゼロかどうかではなく、トラブルが起きたときに会社がどう対応するかです。ここを外すと、丁寧に書いたつもりでも「言い訳が長い」「責任逃れ」に見えます。
実務では、低評価が付いた直後に営業担当が焦って返信し、現場確認が済んでいないまま謝罪や約束を書いてしまうケースが多いです。その結果、追加連絡が必要になり、返信が二転三転して信頼を落とします。返信は一度公開されるため、後から修正しても履歴として残り、第三者の目には不自然に映ります。
返信しないリスクと、返信で失敗するパターンを整理します
放置のリスクは明確です。低評価だけが残ると、会社の見解が見えず「逃げている」と受け取られます。一方で、反射的な返信も危険です。特に失敗しやすいのは、公開の場で詳細な経緯を並べる、担当者やお客様の名前を出す、強い言葉で否定する、補償や返金などの約束を断定する、といったパターンです。工務店の現場では、追加工事の有無、仕様変更の合意、納まりの判断など、事情が複雑になりやすいです。だからこそ返信は「公開での要点」と「個別連絡への誘導」に分けましょう。
判断軸はシンプルです。公開返信では、事実の断定よりも、受け止めと改善姿勢、連絡導線を示します。詳細は個別に伺い、解決のための窓口を提示します。これだけで見込み客の不安は大きく下がります。
低評価への返信は「本人を論破する文章」ではなく、「第三者が安心できる対応姿勢を示す文章」にしましょう。
返信前に必ずやる社内確認フローを作ります
現場・営業・事務で「事実確認の窓口」を一本化します
低評価口コミの返信で最も多い失敗は、確認不足です。工務店では、現場監督は施工中の判断を抱え、営業は契約時の説明を抱え、事務は請求や申請を抱えています。口コミが付いた瞬間に、誰かが単独で対応すると情報が欠けます。そこで「確認窓口」と「決裁者」を固定しましょう。たとえば、一次受けは広報または事務、事実確認は現場監督と営業、最終承認は責任者、という形にすると迷いが減ります。
このとき重要なのは、返信を遅らせる言い訳ではなく、返信の品質を担保するための最短ルートを決めることです。確認を先送りにすると、返信が遅れて放置に見えます。逆に、確認なしで書くと炎上しやすいです。最短で回すために、ヒアリング項目を固定し、記録を残しましょう。
現場ヒアリング項目テンプレを固定します
【現場ヒアリング項目テンプレ(コピペ)】
1. 口コミの内容は「工事品質/連絡/金額/マナー/騒音/近隣」どれに該当しますか。
2. 対象の案件名(契約名)と工期(開始日・完了日)はいつですか。
3. 指摘された事象の発生日と、当日の現場状況(天候・作業内容・担当者)はどうでしたか。
4. 仕様変更・追加工事・金額変更があれば、合意の記録(メール・書面・チャット)はありますか。
5. 既に個別連絡を受けていますか。受けている場合、現状は「未対応/対応中/完了」どれですか。
6. 会社として提示できる対応案(訪問・手直し・説明・再発防止)は何ですか。
7. 公開返信で書けない個人情報・詳細は含まれていますか。
証拠保全と記録を先に押さえます
口コミ対応は、感情のぶつかり合いになりやすいです。だからこそ、社内では事実を固めます。具体的には、口コミのスクリーンショット、案件の契約書・仕様書・変更合意、写真、チャットやメールの履歴、請求書の変更履歴などを集めます。これらは公開で出すためではなく、社内判断のために必要です。専門用語の「エビデンス」は、事実を裏付ける証拠資料のことです。
また、口コミが「案件と無関係」「同業者の嫌がらせの疑い」「名誉を傷つける表現」などの場合もあります。ただし、この判断は現場の感情で行うと危険です。まずは記録を揃え、公開返信は冷静に、個別連絡へ誘導する形を基本にしましょう。
低評価返信の基本構成は4点セットで決まります


公開返信の型は「受け止め・謝意・改善・連絡導線」です
低評価返信の基本構成は、毎回同じで構いません。必要なのは、相手の感情を受け止める一文、時間を割いたことへの謝意、会社としての改善姿勢、そして個別連絡の導線です。ここで「全面的に非を認める」必要はありません。受け止めは「不快な思いをさせた」「ご不安を与えた」など、体験に寄せると安全です。改善は「社内で共有し、再発防止を徹底する」と具体化します。導線は「詳細を伺い、個別に対応したいので、店舗または問い合わせ窓口へ連絡してほしい」と書きます。
【返信の骨子テンプレ(コピペ)】
このたびは貴重なご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。ご期待に沿えず、ご不快な思い(ご不安)をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
いただいた内容は社内で共有し、同様のことが起きないよう確認体制と対応手順を見直します。
個別の状況を伺ったうえで対応したいため、お手数ですが「店舗名/電話/問い合わせフォーム」までご連絡いただけますでしょうか。事実確認のうえ、誠実に対応いたします。
本文+箇条書き+補足解説で、改善を具体化します
「改善します」だけでは、見込み客には伝わりません。工務店の実務で信頼につながるのは、改善ポイントの具体性です。ただし公開返信で詳細を書きすぎると、相手との新たな論点を増やします。そこで、改善の方向性を短い箇条書きで示し、補足解説は社内向けの運用に落とし込みます。
- 連絡の取り方と返信期限を社内で統一します
- 仕様変更・追加費用の説明は書面と口頭の二重で行います
- 完工時の確認項目をチェックリスト化し、説明漏れを減らします
- 現場マナーは朝礼で共有し、近隣対応の基準を設けます
補足解説です。返信文に書くのは上の項目までで十分です。実際の運用では、返信期限は「原則24〜48時間以内に一次返信」、仕様変更は「変更前に合意記録を残す」、完工時は「立会いでチェック項目を読み上げる」、現場マナーは「クレームが出やすい行為を例示して禁止する」といった形で、社内ルールに落とします。専門用語の「SLA」は、対応期限や品質を約束する基準のことです。
書かないことを決めると、炎上が止まります
公開返信で書かないことを決めると、文章が安定します。具体的には、個人情報(氏名・住所・日程の詳細)、金額の細目、相手の発言の引用、担当者の評価、法的な断定です。特に金額や契約の争点は、公開でやり合うと長期戦になります。返信は「窓口の提示」と「改善姿勢の説明」に絞り、個別で丁寧にすり合わせましょう。専門用語の「コンプライアンス」は、法令や社内ルールを守ることです。
返信の型は「受け止め・謝意・改善・連絡導線」で固定し、公開で書かない項目を先に決めましょう。
ケース別の返信テンプレで、クレームを信頼に変えます
施工不備・仕上がりへの不満のとき
施工不備は、見込み客が最も怖がる領域です。だからこそ、公開返信では「手直しの姿勢」と「確認体制」を示すと強いです。反論や言い訳は不要です。現場の状況は案件ごとに異なるため、個別連絡へ誘導して解決の道筋を見せます。実務では、完工後の小さな不具合が放置され、口コミに発展することが多いので、窓口と期限を明記しましょう。
【施工不備の返信テンプレ(コピペ)】
このたびはご不快な思いをおかけし、申し訳ございません。仕上がりに関するご指摘は、工事品質に直結する重要な内容として受け止めております。
状況を確認したうえで手直しを含めて対応したく、お手数ですが「問い合わせ窓口」までご連絡いただけますでしょうか。担当責任者が経緯を確認し、再発防止も含めて誠実に対応いたします。
いただいたご意見は社内で共有し、完工時の確認手順を見直します。
連絡が遅い・段取りが悪いと書かれたとき
「連絡が遅い」は、工事の中身よりも会社の体制を疑われます。ここは返信で改善宣言が効きます。原因が担当者の多忙でも、公開で言い訳に見える表現は避けます。代わりに、連絡の基準を整えたこと、窓口を一本化したこと、期限を設けたことを示しましょう。工務店の実務では、現場監督が不在の時間帯に連絡が止まり、営業も状況が分からず返せない、という構造が起きやすいです。
【連絡遅延の返信テンプレ(コピペ)】
このたびはご連絡面でご不安をおかけし、申し訳ございません。工事中は確認事項が多いにもかかわらず、迅速にお返事できていなかった点を重く受け止めております。
現在、問い合わせ窓口と社内連携を見直し、原則「○営業日以内」に一次回答する運用に変更しました。
個別の経緯を確認のうえ対応したいため、お手数ですが「問い合わせ窓口」までご連絡いただけますでしょうか。責任者が状況を確認し、誠実に対応いたします。
価格・追加費用への不満のとき
金額の話は、公開返信で最も揉めやすいです。追加費用には、仕様変更、下地の想定外、法令対応、近隣配慮などが絡みます。ここで詳細を並べると、公開の場で契約論争になります。返信は「説明不足があった可能性」を認めつつ、合意プロセスの見直しを示し、個別連絡へ誘導します。専門用語の「追加変更契約」は、工事途中の変更内容と金額を合意し直す手続きのことです。
事実誤認・心当たりがないとき
心当たりがない口コミは、焦って否定すると逆効果です。公開で「うちではありません」と断定すると、第三者には強く見えます。まずは、困っている姿勢と確認の意志を示し、連絡を促します。実務では、社名が似ている、下請けの現場を元請けと誤認している、過去の案件を別会社と混同している、というケースが起きます。そこで「該当が確認できていない」ことを丁寧に書き、情報提供をお願いしましょう。
また、競合の可能性を匂わせる表現も避けます。見込み客は、真偽よりも会社の姿勢を見ています。事実確認の姿勢と、正当な窓口を提示するだけで十分です。
社内で回す運用ルールを決めると、返信が資産になります


担当・期限・承認のルールを表で固定します
テンプレを作っても、運用が決まっていないと返信は止まります。工務店の現場は日中に電話が取りづらく、夜にまとめて確認することも多いです。だからこそ、担当と期限を先に決め、承認フローを短くします。ここでは「できること/できないこと」と「誰がいつまでに何をするか」を表で固定し、属人化を止めます。
| 項目 | 公開返信でやる | 公開返信ではやらない |
|---|---|---|
| 受け止め・謝意 | 不快・不安への配慮、謝意 | 相手の主張の引用や評価 |
| 事実の断定 | 確認する姿勢、社内共有 | 経緯の詳細、契約条項の主張 |
| 改善 | 手順見直し、再発防止の方向性 | 担当者名の処分、内部事情の開示 |
| 解決手段 | 窓口提示、責任者対応の約束 | 返金・補償の断定、金額の細目 |
| 個人情報 | 書かない | 氏名・住所・日程の特定情報 |
運用ルールテンプレで、返信を止めない仕組みにします
【運用ルールテンプレ(社内掲示用・コピペ)】
1. 低評価(★1〜2)を確認したら、一次受け担当が当日中に内容を記録します(スクリーンショット保存)。
2. 24〜48時間以内に一次返信を行います。事実未確定でも「受け止め・謝意・連絡導線」を先に出します。
3. 事実確認は「現場監督・営業・事務」でテンプレ項目に沿って行い、責任者が承認します。
4. 公開返信に個人情報、金額の細目、経緯の詳細は書きません。
5. 個別連絡が取れた場合は、解決後に社内で再発防止を共有し、チェック項目を更新します。
社内共有の一文を決めると、改善が続きます
返信を「その場しのぎ」にしないためには、社内共有の型が必要です。口コミの内容は、現場の改善点の宝庫です。とはいえ、毎回文章を考えると続きません。そこで、社内共有メモをテンプレ化しましょう。専門用語の「ナレッジ」は、社内で共有して再利用できる知見のことです。
【社内共有メモテンプレ(コピペ)】
・発生した口コミの分類:工事品質/連絡/金額/マナー/近隣/その他
・何が原因だったか:説明不足/手順漏れ/確認不足/認識違い/未確定
・今後の対策:チェック項目の追加/返信期限の遵守/説明資料の追加/窓口一本化
・今日から変える運用:担当者、期限、具体アクション(1つ)
加えて、担当者が迷うのは「返金や補償に触れるべきか」です。これは現場判断に任せるとブレます。そこで、社内の判断依頼(稟議)テンプレを作り、責任者に早く上げましょう。専門用語の「稟議」は、社内で承認を取る手続きのことです。
【責任者への判断依頼テンプレ(稟議メモ・コピペ)】
・案件名/場所(市区町村まで):
・口コミの要旨:
・事実確認の状況:確定/一部未確定/未確認
・想定される対応案:訪問説明/手直し/再工事/費用調整(要個別)
・公開返信に書く文面案(骨子):受け止め/謝意/改善/連絡導線
・承認してほしい点:公開文面の可否、対応方針の方向性、担当割り当て
テンプレは作っただけでは効きません。担当・期限・承認を固定し、表の線引きどおりに公開返信の範囲を守ると、低評価対応が資産になります。
まとめ:低評価返信は「誠実さの見える化」で勝てます
低評価口コミは避けきれません。工務店の仕事は現場が動き、判断が多く、行き違いが起きやすいからです。大切なのは、放置しないことと、反射的に詳細を書かないことです。公開返信は「受け止め・謝意・改善・連絡導線」で固定し、個別の解決は窓口に寄せましょう。
明日から試せる一歩は、この記事の「現場ヒアリング項目テンプレ」と「運用ルールテンプレ」を社内に貼り、一次返信の期限を24〜48時間に決めることです。これだけで返信が止まりにくくなり、文章もブレません。
最後に、口コミ対応は広報だけの仕事ではありません。現場・営業・事務で共有し、チェック項目を更新し続けると、会社の誠実さが蓄積されます。社内で同じ型を使い、見込み客に安心が伝わる返信を積み上げましょう。









