検討中の客を放置しない!工務店がCRMで長期追客を自動化し、数年後の受注に繋げる仕組みづくり

「資料請求や来場はあったのに、その後の連絡が途切れた」「半年後に思い出した頃には他社で契約していた」など、工務店の追客は担当者の記憶と手元メモに依存しやすいのが実態です。現場対応や見積作成が立て込むほど、「今すぐ客」だけで手一杯になり、検討中の客は後回しになります。

一方で、検討中の客は消えたわけではありません。家族の事情、資金計画、相続、転職、子どもの進学など、外部要因でタイミングが変わるだけです。ここで重要なのは、営業の気合ではなく、CRMを使って「自動で思い出してもらう接点」を仕組みにすることです。CRMは顧客・案件情報を一元管理する道具で、追客の抜け漏れを減らすために使います。

来場後のフォローを入れたいのに、現場と見積で手が回りません。検討中の客ほど、気づいたら連絡が途切れています。

CRMって大手向けで高そうです。結局入力が面倒で、使わなくなりませんか。

この記事では「検討中の客を放置しないためのステータス設計・自動化シナリオ・現場が回る入力ルール」を整理し、数年後の受注に繋げる仕組みを作ります

目次

検討中の客が放置される原因を分解する

放置の正体は「担当者依存」と「判断の曖昧さ」です

放置が起きる理由は、忙しいからだけではありません。根本は「誰が・いつ・何をするか」が決まっていないことです。例えば、来場後の御礼連絡はしても、次の提案タイミングが担当者の感覚任せになると、現場対応が続いた週に抜けます。さらに、検討度合いの判断が曖昧だと「まだ早い」「温度感が低い」といった主観で追客が止まります。ここでの改善のコツは、判断の揺れを減らすために、顧客の状態をステータスで固定し、次アクションを紐づけることです。ステータスは顧客の進捗段階をラベル化したもので、次にやることを決めやすくします。

工務店の実務シーンでは、初回相談から契約までの期間が長く、しかも途中で「土地探し」「ローン審査」「補助金」「家族会議」など工程が増えます。失敗しやすいのは、途中工程が増えた瞬間に担当者の管理が破綻し、連絡が途切れることです。判断軸は「顧客の次の課題が何か」と「次に動くトリガーが何か」に置き、CRMに記録しておきましょう。

追客を「連絡」ではなく「接点設計」に切り替えます

追客を電話やメールの回数で管理すると、担当者の負担が増えるだけで続きません。検討中の客に必要なのは、定期的な接点を作り「思い出してもらう状態」を維持することです。ここで使う考え方がナーチャリングです。ナーチャリングは、今すぐ契約しない見込み客を、情報提供で温度感を育てる運用のことです。例えば、季節の住まいメンテナンス、補助金の更新、施工事例の考え方など、役立つ情報を定期配信すると、売り込みにならず接点が残ります。@

運用イメージは「連絡したいときに連絡する」から「ステータスごとの接点を自動で発生させる」に切り替えます。現場監督や工事部が忙しい時期でも、CRMがタスクや配信を出す仕組みなら、放置が起きにくくなります。

放置を止める最短ルートは、顧客の状態をステータスで固定し、次アクションをCRMに紐づけて担当者依存を消すことです。

CRM導入前に決めるべき「追客の設計図」

追客のゴールを「受注」ではなく「次の約束」に置きます

CRMは魔法の箱ではありません。先に設計図を作ると、入力が軽くなり定着します。まずゴールを「受注」ではなく「次の約束」に置きましょう。具体的には、資料請求後なら「次回のオンライン相談予約」、来場後なら「概算の資金計画面談」、プラン提案後なら「家族会議後の回答日確定」など、1段階先の約束に落とします。失敗しやすいのは、受注までの理想ルートを描きすぎて運用が複雑化し、入力が止まることです。判断軸は、誰が見ても迷わない次アクションを1つに絞ることです。

工務店の実務では、顧客が止まる理由は「断り」より「未決」です。未決のまま時間が経つと、連絡のきっかけが失われます。だからこそ、次回の約束を作り、約束日が過ぎたらCRMが自動でリマインドを出す運用にします。

役割分担を決めると現場が回ります

CRMが定着しない最大要因は「入力担当が不明」になることです。営業だけに入力を押し付けると、忙しい月に崩れます。おすすめは、入力を3層に分けることです。

  • 一次情報は受付や広報が入力
  • 商談情報は営業が入力
  • 工事・現場の進捗は工事部が最低限の更新

ここでいう一次情報は、氏名・連絡先・問い合わせ種別・希望エリアなど、最初に取れる情報です。

運用イメージとしては「入力の質を上げる」より「入力の範囲を絞る」を優先します。失敗しやすいポイントは、最初から全項目を埋めようとして入力が止まることです。改善のコツは、必須項目を10個以内に固定し、その他は後から追記にしましょう。

追客設計図の決め方テンプレ(社内共有用)
1. 追客対象:資料請求/来場/見積依頼/OB紹介の問い合わせ
2. ステータス:新規→初回接触→検討中→要再提案→保留→失注→成約
3. ステータスごとの次アクション:各ステータスに「次の約束」を1つだけ設定
4. 連絡手段:メール/電話/LINE/郵送のどれを使うかを固定
5. 自動化の範囲:定期配信+期限リマインド+担当タスク発行

CRM導入前に「次の約束」「役割分担」「必須項目」を先に固定すると、入力負担が減り追客が自動化しやすくなります。

顧客・案件データの整備とステータス設計

Icon cloud computing network and icon connection data information. Cloud computing and technology concept.

ステータスとタグを混ぜないのがコツです

CRMにはステータスとタグを分けて持たせましょう。タグは「特徴」をメモするラベルで、ステータスは「進捗段階」です。例えば「二世帯」「平屋」「補助金関心」はタグ、「来場済み」「プラン提案済み」はステータスです。混ぜると検索が破綻し、誰も追えなくなります。失敗しやすいのは、タグを増やしすぎて運用が複雑化し、入力が止まることです。判断軸は、タグは営業判断に役立つものだけに絞り、10〜20個程度から始めることです。

ステータス定義テンプレ(迷いを消す文言例)
新規:問い合わせ受付のみ、未接触
初回接触:電話・メールで連絡が取れた
検討中:次回の約束が未確定、検討材料が不足
要再提案:家族会議・資金計画・土地などの条件が更新された
保留:時期が半年以上先、理由が明確(転勤・相続など)
失注:他社契約、または明確な見送り
成約:契約締結

工務店の実務シーンで効くのは「保留」を作ることです。保留は失注ではありません。理由が明確なら、数か月後に戻る確率が上がります。保留の定義を作らないと、担当者は失注に寄せて処理し、追客が途切れます。

最低限の入力項目を固定し、検索できる状態にします

長期追客で効くのは「検索できる情報」です。住所や電話番号より、いつ・何を検討しているかが重要です。最低限の項目は、問い合わせ種別、希望エリア、工事種別、想定時期、予算帯、検討の障害(例:土地、ローン、同居)です。障害は一文で記録しましょう。専門用語のセグメントは、条件で顧客をグループ分けすることです。セグメントができると、配信内容を出し分けられます。

失敗しやすいポイントは、自由記述だけで記録して検索できなくなることです。改善のコツは、選択式の項目を増やし、自由記述は「補足」に限定します。運用イメージとして、受付時に一次情報を入力し、初回相談後に営業が検討情報を追記し、以後はステータス更新だけでも回る形にしましょう。

項目CRMで標準化しやすい注意点(失敗パターン)
ステータス(進捗段階)しやすい定義が曖昧だと担当者ごとにブレます
タグ(特徴・嗜好)できるが絞る必要あり増やしすぎると入力が止まり検索が崩れます
追客タスク(期限付き)しやすい担当と期限が空欄だと未実行が増えます
自動配信(定期接点)しやすい内容が売り込み中心だと解除されます
現場進捗の詳細無理に統一しない現場に入力負荷をかけると定着しません

ステータスは「進捗」、タグは「特徴」で分け、必須項目を固定して検索できる状態にすると長期追客が回り始めます。

CRMで長期追客を自動化するシナリオ設計

自動化は「ワークフロー」と「配信」を分けて作ります

自動化の中心は、ワークフローと配信です。ワークフローは、条件に応じてタスクや通知を自動で出す仕組みです。配信は、メールやLINEなどで定期的に情報を届ける動きです。工務店の長期追客では「期限を忘れない仕組み」と「接点が途切れない仕組み」を分けて作ると、運用が簡単になります。失敗しやすいのは、いきなり複雑な分岐を作ってメンテできなくなることです。判断軸は、最初は3つのシナリオに絞ることです。

ここからはハイブリッドで整理します。まず本文で考え方を押さえ、次に箇条書きでシナリオ例を出し、最後に補足で運用の注意点をまとめます。

  • 来場後7日:御礼+よくある質問への回答を自動送信し、次回相談の候補日を提示します
  • 提案後14日:家族会議の期限を確認するリマインドを自動送信し、返信がなければ担当タスクを発行します
  • 保留(半年以上先):月1回の役立つ情報配信+四半期に1回の状況確認タスクを自動発行します

補足として、配信は売り込み中心にしないことが重要です。解除される原因は「毎回キャンペーン」「来場促進だけ」が続くことです。現場の実務に沿うテーマを用意しましょう。例として、冬の結露対策、梅雨のカビ対策、補助金の更新、土地探しの注意点、資金計画の落とし穴などです。コンテンツ作成が難しければ、既存の施工事例の学びを短文にして回すだけでも接点になります。

長期追客シナリオテンプレ(最小構成)
対象ステータス:検討中/要再提案/保留
配信頻度:検討中は2週に1回、保留は月1回
配信テーマ:季節の住まい課題/補助金/資金計画/施工事例の学び
期限タスク:提案後14日、見積提示後7日、保留は四半期ごと
終了条件:失注・成約にステータス変更で自動停止

現場ヒアリングをCRMに繋ぐと「要再提案」を取りこぼしません

数年後に受注へ繋がるのは、「条件が変わった瞬間」に再提案できる会社です。例えば、子どもの進学でエリアが変わった、親との同居が決まった、補助金の対象になったなどです。この変化は、現場や受付が先に気づくことがあります。そこで、簡単なヒアリング項目を用意し、CRMへ追記する運用にしましょう。失敗しやすいのは、会話が担当者の頭の中で終わることです。

現場ヒアリング項目テンプレ(電話・来場後の追記用)
1. 検討時期:いつ頃に着工したいか(半年以内/1年以内/未定)
2. ボトルネック:土地/資金/家族合意/間取り迷い/補助金待ち
3. 連絡希望:電話/メール/LINE/郵送、連絡しやすい時間帯
4. 優先条件:エリア/学区/二世帯/平屋/断熱/耐震
5. 次に決めること:家族会議/金融機関相談/土地内見/概算見積

運用イメージは、ヒアリング内容のうち「ボトルネック」と「次に決めること」だけでもCRMに残すことです。これが残れば、半年後に連絡しても会話がつながり、再提案の打ち手が作れます。

自動化は「期限を忘れないワークフロー」と「接点が途切れない配信」に分け、条件変化を拾うヒアリングで要再提案を作りましょう。

社内で回す入力ルールと、止まらない運用の作り方

Young man with a laptop plotting a system of building structures in blueprints, Architects or engineers are designing buildings using computers to calculate the physical structure to be correct.

入力ルールは「いつ・誰が・どこまで」を短文化します

CRM運用が止まるのは、入力の正しさを求めすぎたときです。現場に寄り添う運用にするなら、入力ルールを短文化し、迷いを消しましょう。例えば「来場当日中に一次情報」「商談翌日までにステータス更新」「提案後は期限タスクだけ登録」などです。失敗しやすいポイントは、ルールが長文で読まれないことです。改善のコツは、チェックリスト形式で見える場所に置くことです。

  • 問い合わせ当日:受付が一次情報と問い合わせ種別を登録します
  • 初回相談の翌日まで:営業がステータスと次回約束日を登録します
  • 提案・見積提示の当日:期限タスク(7日・14日)を登録します
  • 保留に入れた日:理由を一文で記録し、月1配信リストに追加します
  • 失注・成約:ステータス変更で自動配信を停止します

上のチェックリストは、そのまま朝礼や週次ミーティングで確認できます。週次で「期限超過タスク」をCRMから一覧で出し、担当者に戻すだけでも、放置は大きく減ります。

導入稟議は「現場負担が減る」説明を先に置きます

経営者がCRM導入を判断するとき、費用対効果だけでなく、現場負担が増えないかを重視します。ここでの専門用語であるROIは、投資に対してどれだけ回収できたかの割合です。稟議では「入力が増える」不安を先に潰す必要があります。失敗しやすいのは、機能の説明ばかりで、運用が想像できないことです。判断軸は、業務フローがどう変わるかを先に示すことです。

導入稟議テンプレ(要点だけ版)
目的:検討中の客の放置をなくし、数か月〜数年後の受注機会を回収します
現状課題:追客が担当者依存で、期限管理ができず、連絡のきっかけを失っています
運用方針:必須入力は10項目以内、ステータス更新と期限タスクを中心に回します
自動化範囲:定期配信+期限超過タスク発行、失注・成約で自動停止します
期待効果:追客の抜け漏れ削減、再提案機会の増加、引き継ぎの容易化

運用ルール注意書きテンプレ(社内掲示用)
・自由記述は補足のみ、ステータスと期限タスクを最優先で更新します
・タグは増やしすぎない(追加は月1回の見直しで決めます)
・保留は失注扱いにしない(理由が明確なら追客リストに残します)
・配信は売り込み中心にしない(役立つ情報を基本にします)

CRM運用は「入力の完璧さ」ではなく「ステータス更新と期限管理を止めないこと」を最優先にしましょう。

まとめ:検討中の客を放置しない仕組みは「設計」と「定着」で作ります

検討中の客を放置しないための判断軸は、①ステータスで進捗を固定する、②次の約束を1つに絞る、③期限タスクと定期配信で接点を自動化する、の3点です。担当者の頑張りに頼るほど、忙しい月に崩れます。

明日から試せる一歩は、まずステータス定義を社内で合わせ、来場後7日・提案後14日・保留は月1配信の3シナリオだけを作ることです。入力項目を増やすより、止まらない運用を優先しましょう。

最後に、社内共有で定着させるなら「期限超過タスクの週次確認」を会議の型に入れてください。数字より先に、運用が回っているかを確認すると、数年後の受注に繋がる追客が継続します。

この記事を書いた人

くらし建築百科 編集部は、工務店・リフォーム会社・建築会社の「現場」と「経営」の両方に寄り添う情報発信チームです。住宅業界のマーケティング支援やDX導入支援に携わってきたメンバーが、集客・採用・補助金・業務効率化など、明日から使える実務ノウハウを分かりやすくお届けします。

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