工務店のInstagram運用は、施工事例を投稿しても反応が読めず、担当者の感覚で続けてしまいがちです。現場は忙しく素材が集まらない、編集に時間がかかる、投稿しても問い合わせに繋がらない、といった悩みが積み重なります。
特にリールは、最初の数秒で離脱されると最後まで見てもらえず、良い施工も「伝わらないまま終わる」点が現場のつまずきポイントです。編集の上手さより先に、見せ方の順番と運用の型を決めておきましょう。

施工写真はあるのに、動画素材が集まりません。現場に「撮って」と言っても負担になりそうで止まっています。



リールはダンスや流行の動画が強い印象です。工務店がやっても意味が薄いのではないですか。
この記事では「最初の3秒の作り方」「編集の型」「再生数を伸ばす投稿設計」「現場から素材を回す運用ルール」を判断軸として整理し、問い合わせに繋げるための実務手順を作ります
工務店がリールで狙うべき成果と指標の決め方


リールは「見てもらう」だけで終わると社内で評価されず、運用が止まります。最初に決めるべきは、リールで狙う成果を1つに絞ることです。工務店の場合、成果は大きく分けて「認知」「信頼」「問い合わせ導線」の3段階です。認知は地域の見込み客に存在を知ってもらう段階、信頼は施工品質や対応姿勢を理解してもらう段階、問い合わせ導線は来店予約や相談に繋げる段階です。
この3段階が混ざると、動画の内容がぶれます。例えば「施工のこだわり」を語りながら「今月のキャンペーン」を入れると、最後まで見た人が何をすればよいか迷います。まずは1本のリールに1目的で設計しましょう。
リーチとエンゲージメントを工務店向けに言い換える
リーチは「動画を見た人数」のことで、地域の見込み客に届いているかの目安です。エンゲージメントは「保存・コメント・シェアなどの反応」のことで、興味の強さを測る手がかりです。どちらも数が増えるほど良いですが、工務店は特に保存の比率を重視すると運用が安定します。
保存率は「見た人のうち何人が保存したか」のことで、あとで見返したい価値があるかを示します。施工のビフォーアフター、収納の寸法感、素材比較など、後から見返す理由がある動画は保存が伸びやすいです。
見るべき指標と改善の方向を表で揃える
| 指標 | 工務店向けの意味 | 落ちたときの原因例 | 改善の打ち手 |
|---|---|---|---|
| 平均視聴時間 | どこで離脱されているか | 導入が長い、結論が遅い | 結論先出し、冒頭3秒に完成形 |
| 視聴維持率 | 最後まで見られる構成か | 同じ画が続く、情報が薄い | 1〜2秒ごとに画を変える、字幕で補う |
| 保存数 | 見返す価値があるか | 汎用的で真似できない | チェック項目化、寸法や手順を入れる |
| プロフィール遷移 | 会社情報を見に来たか | 誰の施工かわからない | 冒頭に地域名・得意工事を明示 |
| DM・問い合わせ | 相談に繋がったか | 次の行動が書かれていない | CTAを固定、相談導線を統一 |
【KPI決めテンプレ(週次で確認)】
目的:認知/信頼/問い合わせ(いずれか1つ)
対象:新築/リフォーム/外構/店舗/補助金相談(主軸1つ)
指標:平均視聴時間(秒)/保存数(件)/プロフィール遷移(件)/DM(件)
今週の仮説:冒頭3秒の見せ方を「完成→工程」に変える
来週の変更点:字幕を太字・短文にする/カット間隔を1.5秒以内にする
リールは「目的を1本に1つ」決め、平均視聴時間と保存数を軸に改善しましょう。
最初の3秒で惹きつけるフック設計の型
リールのフックは、最初の3秒で「この動画は自分に関係がある」と理解させる仕掛けです。フックは小手先の煽りではなく、施工動画なら完成イメージと価値を最短で見せる段取りです。工務店が失敗しやすいのは、冒頭で現場の引きの画を長く見せてしまうことです。視聴者は「何が変わる動画か」が分からないとすぐに離脱します。
まずは冒頭3秒に「完成形」「比較」「悩みの答え」を置き、続きで根拠を見せましょう。例えば、造作洗面なら完成のアップ→幅や素材のポイント→施工中の短い工程、の順にします。現場の臨場感は後からでも十分伝わります。
工務店の施工動画で使えるフック6パターン
- 完成形のアップから開始する(最初の1秒で見た目の価値を伝える)
- ビフォーアフターを1秒で切り替える(変化が一目で分かる)
- 不満のある場所を先に見せる(暗い、狭い、収納不足など)
- 寸法や数字を出す(幅1200、奥行450など具体化する)
- 素材比較を見せる(床材、外壁、キッチン天板など)
- 施主の要望を短文で出す(例:家事動線を短くしたい)
ここでの失敗は「情報を詰め込みすぎて文字が多くなる」ことです。冒頭は短文で、視聴者が瞬時に読める量に絞りましょう。テロップは1行、長くても12〜14文字程度を目安にします。
テロップと音の使い方を現場目線で整える
テロップは「画だけでは伝わらない価値」を補うための字幕です。音は「テンポと感情」を支える要素です。BGMを流すだけで終わらせず、カットの切り替えに合わせて音の山を作ると視聴維持率が上がります。視聴維持率は「どこまで見られ続けたか」を示す割合で、途中離脱の箇所が分かります。
【冒頭3秒の台本テンプレ(コピペ用)】
0.0〜1.0秒:完成(アップ)+短文テロップ「○○の悩みを解決」
1.0〜2.0秒:ビフォー(問題箇所)+短文テロップ「原因は△△」
2.0〜3.0秒:アフター(改善点)+短文テロップ「ポイントは□□」
以降:工程は1〜2秒刻みで根拠を見せる
施工動画の編集テクニックを型で統一する


編集はセンスより「型の統一」が重要です。担当者ごとに字幕のルール、カットの長さ、見せる順番が違うと、運用が属人化し、外注や引き継ぎができません。工務店のリール編集は、撮影素材が完璧でなくても成立するように、最低限の編集ルールを先に決めておきましょう。
よくある失敗は、カットが長く単調になること、字幕が小さく読めないこと、施工の要点が最後まで出てこないことです。改善のコツは「1〜2秒で画を変える」「字幕は短文」「結論を先に出す」の3点です。
カット編集は「1.5秒」を基準にする
カット編集は不要部分を切り、見やすいテンポに整える作業です。工務店の施工動画は動きが少ない場面が多いので、1カットを長くすると飽きられます。基本は1カット1〜2秒、説明が必要な場面でも3秒以内を目安にします。長く見せたい場面がある場合は、ズームや手元、別角度を挟んで「同じ内容でも画を変える」ことで維持率を落としません。
字幕は「短文+要点太字」で読み切らせる
字幕は文章ではなく見出しとして扱います。例えば「断熱等級を上げました」ではなく「断熱は等級6へ」のように短くします。専門用語を出すときは必ず言い換えを入れましょう。断熱等級は「家の熱の逃げにくさを示す基準」です。視聴者が置いていかれない字幕設計が、保存につながります。
本文+箇条書き+補足解説で「学び」を残す
施工動画は見た目だけで終わると保存が伸びません。保存を取りに行くときは「学び」を残しましょう。やり方は、まず本文で結論を言い切り、箇条書きでチェック項目を提示し、最後に補足解説で判断基準を噛み砕きます。
- 結論:造作洗面は「掃除のしやすさ」を最優先で設計します
- チェック項目:水栓の位置/継ぎ目の少なさ/排水まわりの点検性
- 撮影の見せ方:完成アップ→水栓と天板→収納内部→点検口
補足解説として、継ぎ目が多いと水垢が溜まりやすく掃除負担が増えます、と一文で理由を添えましょう。視聴者が「自分の家でも確認できる」と思えると保存が増え、次の相談に繋がります。
【編集チェックリスト(社内共有用)】
・冒頭1秒で完成形が映っている
・1カット1〜2秒、長くても3秒以内
・字幕は1行、短文(12〜14文字目安)
・専門用語は言い換えを1文で入れている
・最後に次の行動(プロフィール確認、相談など)を入れている
編集は「カット短め・字幕短文・結論先出し」の型で統一し、担当者が変わっても同じ品質で回しましょう。
再生数を伸ばす投稿設計と改善の回し方
再生数は「偶然当たる」ものではなく、投稿設計と改善の回し方で伸びます。工務店の運用で失敗しやすいのは、投稿のたびにテーマが散らばり、視聴者がアカウントの得意領域を理解できないことです。まずは3〜5本を1セットとして、同じテーマで連続投稿しましょう。例として「断熱リフォーム」「造作収納」「外壁塗装」のように、相談に直結する切り口で揃えます。
また、A/Bテストは「2案を比べて良い方を残す検証」です。全てを変えるのではなく、冒頭3秒だけ、字幕の言い回しだけ、尺だけ、のように1要素だけ変えて比較すると原因が分かります。運用の判断が曖昧になりやすいので、週次で数値を見て改善点を固定しましょう。
尺は15〜25秒を基準にし、役割で伸ばす
施工動画の尺は長いほど良いわけではありません。最初は15〜25秒を基準にし、一本の役割を明確にしましょう。認知目的ならビフォーアフター中心で短く、信頼目的なら工程の根拠を2〜3点だけ足し、問い合わせ目的なら最後に相談の入口を明確にします。尺が長いのに情報が薄いと視聴維持率が下がり、伸びにくくなります。
キャプションとCTAで次の行動を迷わせない
CTAは「次にしてほしい行動の指示」です。リールでよくある失敗は、最後に何も言わず終わることです。工務店のCTAは「プロフィールの施工事例へ」「無料相談の流れは固定投稿へ」「見積もり前の確認点をDMで送ります」など、行動が1つに決まる形にします。問い合わせ目的の動画だけCTAを強くし、認知目的の動画は保存やフォローを促す程度に留めると自然です。
ハッシュタグは「地域+工事種別+悩み」で固定する
ハッシュタグは「検索で見つけてもらうためのキーワード」です。工務店は流行タグより、地域と工事種別と悩みを組み合わせた方が相談に近い層に届きます。例として「地域名+リフォーム」「地域名+注文住宅」「断熱リフォーム」「収納不足」などです。毎回変えすぎると比較ができないので、基本セットを固定し、動画のテーマに合わせて2〜3個だけ追加しましょう。
【投稿設計テンプレ(1本ごとに記入)】
テーマ:例)断熱リフォーム/造作収納/外壁塗装
目的:認知/信頼/問い合わせ(1つ)
冒頭3秒:完成→問題→改善点(短文テロップ)
尺:15〜25秒(根拠は2〜3点)
CTA:例)プロフィールから施工事例へ/DMでチェックリスト送付
ハッシュタグ:固定セット+追加2〜3個
現場から素材を回し、炎上とトラブルを防ぐ運用ルール


リール運用が止まる最大の原因は「素材が集まらない」「承認が遅い」「トラブルが怖い」の3つです。ここは編集技術より運用設計が効きます。現場に撮影を依頼するときは、細かい指示を増やすほど負担になります。撮影は「最低限の型」に落とし、誰でも同じように撮れる状態を作りましょう。
また、個人情報や近隣への配慮を怠ると、炎上やクレームに繋がります。炎上は「投稿が批判や不信を集めて拡散する状態」です。対策はルールを明文化し、承認フローを固定することです。現場が安心して協力できる状態を先に作りましょう。
現場撮影は「5カット固定」で依頼する
現場依頼は「何を撮るか」が明確だと協力が得られます。おすすめは5カット固定です。完成アップ、全景、手元、こだわりポイント、ビフォーまたは施工中、の5つです。各5秒で十分です。縦動画で撮ることだけ徹底すれば、編集側の負担も減ります。
【現場ヒアリング・撮影依頼テンプレ(コピペ用)】
1)今回の工事種別:新築/水回り/断熱/外壁/外構(選択)
2)施主の要望(短文):例)収納を増やしたい/寒さを改善したい
3)見せたいこだわり:例)造作収納/素材/動線/断熱
4)撮影は縦で5カットだけお願いします
・完成アップ(5秒)・全景(5秒)・手元(5秒)・こだわりポイント(5秒)・ビフォーか施工中(5秒)
承認フローは「撮影→編集→確認→投稿」を48時間で回す
承認が長引くと投稿頻度が落ち、改善の速度も落ちます。投稿頻度は「一定の間隔で出し続けること」で、アルゴリズム以前に社内運用として重要です。運用イメージとしては、現場が撮影した当日中に共有、翌日に編集、同日中に確認、48時間以内に投稿、という流れが現実的です。確認者が不在の場合は代替者を決めておきましょう。
【承認・稟議テンプレ(社内用)】
投稿目的:認知/信頼/問い合わせ(1つ)
動画内容:工事種別と要点(短文)
配慮事項:顔/表札/車のナンバー/近隣情報の映り込み(有無)
使用素材:自社撮影のみ/音源はアプリ内の使用可のもの
確認者:営業責任者/現場責任者/広報(いずれか)
投稿予定:日付と時間
緊急停止基準:指摘が入ったら一旦非公開、24時間以内に対応方針を決定
著作権と個人情報の注意点を一文ルールにする
著作権は「他人が作ったものを勝手に使えない権利」です。音源や画像を外部から持ち込むとトラブルになります。個人情報は「特定の個人が分かる情報」で、顔、表札、車のナンバー、住所が映ると危険です。現場で撮影する前に、映り込みを避ける位置を決め、編集時にモザイクが必要な場合は必ず実施しましょう。
【投稿前の注意書き・運用ルール(固定文)】
・施主の許諾が取れている現場のみ掲載します
・顔、表札、車のナンバー、住所が特定できる映り込みは掲載しません
・音源はInstagram内で使用可能なもののみを使用します
・指摘や問い合わせが入った場合は一旦非公開にし、24時間以内に社内で対応方針を決めます
素材回収は「5カット固定」、承認は48時間、注意点は固定文で明文化し、現場が安心して回せる運用にしましょう。
まとめ|リールは3秒設計と運用の型で成果が決まる
工務店のInstagramリールは、編集の上手さより「最初の3秒で完成と価値を見せる設計」と「社内で素材を回す運用の型」で成果が決まります。目的を1本に1つ絞り、平均視聴時間と保存数を軸に改善すると、判断がぶれません。
明日から試せる一歩は、冒頭3秒の台本テンプレを使い、完成→問題→改善点の順で1本作ることです。社内共有のために、編集チェックリストと投稿前の注意書きを固定し、現場の負担を増やさずに継続できる形にしましょう。









