地域密着型の工務店では「応募が来ない」「面接しても続かない」「現場が忙しく採用に手が回らない」が同時に起きやすいです。結果としてハローワークだけに頼り、原稿の差し替えを繰り返して時間だけが過ぎます。
さらに未経験者採用は、仕事内容の伝え方と受け入れ体制が曖昧なまま進みやすいです。現場が躓くポイントは「応募導線の設計」と「入社後の育成の見える化」が未整備なまま募集を出すことです。
この記事では、ハローワーク以外の集客チャネルを増やすだけでなく、社内で回る運用に落とし込むところまで整理します。

求人を出しても応募が月0〜1件です。現場が忙しくて、採用活動が止まりがちです。



SNSをやれば人が集まると聞きましたが、何を投稿して、どう応募につなげればいいのか分かりません。
地元つながり・SNS・求人サイトをどう組み合わせ、誰が何を毎週やるかまで決める判断軸と運用ゴールを整理します。
ハローワーク依存で詰まる原因を先に分解する


応募が増えないのは「母集団不足」ではなく「入口の偏り」です
ハローワークは「探している人」に届く一方で、「今は探していないが条件次第で動く人」には届きにくいです。未経験の若手は、仕事探しの入口が学校・知人・SNS・求人サイトに分散しやすく、入口が一つだと母数が細くなります。
工務店の実務シーンでは、現場監督が急に欠けたときに「来月から現場が回らない」状況になり、短期で採用を決めたくなります。焦って原稿を強めると、応募は増えてもミスマッチが増え、半年以内離職に繋がります。
失敗しやすいのは「何の仕事か」を職種名だけで伝えることです
「現場作業員」「職人見習い」だけでは、未経験者は自分の1日が想像できません。改善のコツは、作業を工程に分解して「最初の3か月でやること」を書くことです。判断軸は、応募者が読んだ瞬間に「自分にもできそう」と感じる具体性があるかです。
社内で回す運用イメージとしては、原稿作成を広報任せにせず、現場のベテランが「新人に最初に任せる作業」を箇条書きで渡し、バックオフィスが文章に整えます。現場の言葉を材料にすると、嘘がない原稿になります。
【採用の現状棚卸しテンプレ(社内メモ)】
1. 欠員の理由:退職/増員/繁忙期対応
2. 必要人数:今月/3か月後/半年後
3. 未経験に任せられる作業:例)養生、清掃、資材運搬、写真撮影、片付け
4. 教える担当:誰が/いつ/どこで
5. 応募の入口:ハローワーク/紹介/SNS/求人サイト(現状の件数)
6. 連絡体制:応募から何時間で一次連絡するか
ハローワーク一本のまま改善するより、入口を3つに分けて「応募→連絡→面接→体験→入社」までの流れを先に固定しましょう。
手法1:地元のつながりを「紹介が出る仕組み」に変える
紹介は偶然ではなく「頼み方」と「返し方」で増えます
地域密着型工務店の強みは、既に地元の人脈があることです。ただし「誰かいない?」と雑に聞くと動きません。失敗しやすいポイントは、条件が曖昧で紹介者が責任を感じてしまうことです。改善のコツは「未経験OK」「まず体験」「合わなければ辞退OK」を明確にして、紹介者の心理負担を下げることです。
具体例として、協力業者、資材店、OB施主、商工会のつながりは強い入口になります。現場監督が毎回同じお願いを口頭で言うのではなく、テンプレ文面を用意し、社内で統一して依頼します。
未経験者は「仕事体験」で不安を消すと応募率が上がります
仕事体験は「半日だけ現場を見せる」だけでも効果があります。未経験者にとっての不安は、能力よりも雰囲気と安全です。運用イメージは、月に2回だけ枠を作り、候補者をまとめて案内します。安全説明、服装、集合場所まで決めておくと現場が混乱しません。
- 体験の目的:仕事内容の理解と相性確認
- 体験の時間:半日(午前のみ、午後のみ)
- 実施場所:片付けや養生中心の現場
- 担当:現場1名+事務1名(連絡と書類)
【紹介依頼文テンプレ(コピペ用)】
お世話になっております。〇〇工務店の〇〇です。
現在、未経験の若手(18〜30代目安)を1名募集しています。まずは半日〜1日の仕事体験からで、合わなければ辞退でも問題ありません。
作業は養生・片付け・資材運搬などから始め、担当がついて教えます。
もし「体を動かす仕事に興味がある方」がいれば、お名前だけでも教えていただけると助かります。
【仕事体験 当日チェックリスト(現場用)】
・集合場所と時間を前日までに確定
・服装(長袖・長ズボン・安全靴)と持ち物を連絡
・最初に危険箇所を説明し、立ち入り禁止エリアを示す
・担当者を1名決め、声かけ役を固定
・最後に「良かった点/不安点」を5分ヒアリングして記録
手法2:SNSは「職人の魅力」ではなく「若手の不安解消」を軸にする


投稿テーマは3つに絞ると継続できます
SNSは頑張るほど疲れます。失敗しやすいポイントは、完成写真だけを並べて採用に繋がらないことです。若手が知りたいのは「入社後の1日」「先輩の教え方」「休みと残業の実態」です。投稿テーマは次の3つに固定し、毎週同じ型で出します。
- 新人の1日:朝礼、準備、片付け、移動、休憩の取り方
- 仕事のはじめ方:最初に任せる作業と教え方
- 安全と道具:危険を避けるルール、道具の名前と使い方
補足解説として、現場の映えより「分かりやすさ」を優先します。スマホで短く撮り、編集は最小で構いません。現場監督が週1本撮影し、広報が文章と投稿を整える分業にすると続きます。
応募に繋げるにはCTAを固定します
CTAは「次に取ってほしい行動を明確に書くこと」です。毎回の投稿でCTAが変わると、見た人が動けません。改善のコツは、導線を1本に絞り「仕事体験申し込み」か「見学予約」だけにします。応募フォームが難しければ、最初は電話でも構いませんが、対応時間は必ず書きます。
【SNS投稿テンプレ(コピペ用)】
今日の現場:〇〇(内容を一言)
未経験の方が最初にやる作業:〇〇(具体)
教え方:最初は〇〇、慣れたら〇〇まで任せます
不安になりやすい点:〇〇(先に説明)
次の一歩(CTA):仕事体験(半日)を受け付けています。連絡は平日〇時〜〇時に電話/DMでお願いします。
- 投稿の最後に必ず「仕事体験」か「見学」を入れる
- 連絡の窓口を事務に固定する
- 返信の目安時間を決める
- 質問が多い内容は次回投稿のネタにする
手法3:求人サイトは「原稿の型」と「即レス運用」で勝てます
求人原稿は「不安→安心→具体」の順で書きます
求人サイトは検索から来る人が多く、比較されます。失敗しやすいポイントは、待遇だけを並べて仕事内容が薄いことです。未経験の若手は「怒られそう」「危なそう」「続かなそう」を気にします。先に不安を言語化し、会社側の安心材料を出し、最後に具体の仕事を見せます。
実務例として、募集職種を「多能工見習い」にするより「リフォーム現場のサポート(未経験OK)」のように役割で書きます。専門用語を使う場合は、必ず1文で言い換えます。例えば「OJT」は「現場で先輩と一緒に実務をしながら覚える育成方法」です。
SLAを決めると応募取りこぼしが減ります
SLAは「何時間以内に対応するかの約束」です。応募の取りこぼしは、条件より返信スピードで起きます。運用イメージは、応募が来たら事務が一次返信し、面接枠を2つ提示し、現場責任者が最終確定します。電話が苦手な若手もいるため、最初はメッセージで日程を固めると進みます。
| 入口 | 強み | 弱み | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 無料で出せる、地域の求職者に届く | 入口が固定で若手の母数が細くなりやすい | 受け入れ体制が整った後の安定運用 |
| 地元紹介 | 信頼が乗る、ミスマッチが減りやすい | 頼み方が曖昧だと動かない | 仕事体験とセットで継続的に回す |
| SNS | 会社の雰囲気が伝わる、若手に届く | 運用が属人化しやすい、返事が遅いと逆効果 | 不安解消の投稿+固定CTAで入口化 |
| 求人サイト | 比較検討層に届く、原稿改善が効く | 即レス運用がないと取りこぼす | 原稿の型+SLAで応募対応を標準化 |
判断軸は「入口の数」ではなく「入口ごとに次の一手が決まっているか」です。求人サイトは出した瞬間が勝負なので、返信ルールを決めてから掲載します。
求人サイトは原稿改善より先に「応募から一次連絡までの時間」を決めましょう。即レスが整うと、同じ応募数でも採用数が増えます。
3手法をハイブリッドで回すためのKPIと役割分担


KPIは3つに絞って毎週見るとブレません
KPIは「採用活動の数字のものさし」です。数字が多いと見なくなります。未経験採用で最低限見るKPIは3つです。実務では、バックオフィスが集計し、週次で共有します。
- 応募数(入口別):紹介/SNS/求人サイト
- 一次連絡までの時間(SLA達成率):何時間以内に返したか
- 体験実施数と入社率:体験から何人が入社したか
補足解説として、フォロワー数や閲覧数は「入口の健康診断」にはなりますが、採用の結論にはなりません。まずは応募と体験に数字を寄せます。
役割分担は「現場が撮る」「事務が返す」「責任者が決める」です
失敗しやすいポイントは、SNSも求人も一人に背負わせて止まることです。改善のコツは、作業を3つに分けて担当を固定することです。現場は素材提供、事務は連絡と記録、責任者は判断だけに寄せます。
【週次採用ミーティング テンプレ(15分)】
1. 入口別の応募数(紹介/SNS/求人サイト)
2. 一次連絡のSLA達成(遅れが出た理由と改善)
3. 仕事体験の予定(今週・来週)
4. 原稿・投稿の改善点(よく来る質問を1つ反映)
5. 次週の担当(撮影:〇〇、投稿:〇〇、返信:〇〇、面接:〇〇)
【面接・体験後の評価シート(コピペ用)】
・時間厳守:できた/できない(具体)
・安全意識:指示を守れる/危険を避けられる
・コミュニケーション:報連相ができる/返事ができる
・体力面:半日での様子(無理がないか)
・次アクション:採用/再体験/見送り(理由を一文)
募集開始前に整える「受け入れルール」と現場ヒアリング項目


受け入れが曖昧だと「採用できたのに辞める」が起きます
未経験の若手は、入社後の最初の2週間で判断します。失敗しやすいポイントは、教える人が日替わりで言うことが変わることです。改善のコツは「最初の30日ルール」を作り、任せる作業と禁止事項を固定することです。
現場のヒアリングは「任せたい作業」を先に聞きます
運用イメージは、採用を始める前に現場から情報を集め、原稿・SNS・体験内容に反映する流れです。バックオフィスが質問票を回収し、責任者が最終確定します。
【現場ヒアリング項目テンプレ(回収用)】
1. 新人に最初に任せたい作業(3つ)
2. 事故が起きやすい場面と注意点(具体)
3. 1日の流れ(朝礼、移動、休憩、片付け)
4. 教える担当者と時間(週に何時間見れるか)
5. 向いている人の特徴(性格・体力・経験)
6. 続かない人の特徴(具体例)
- 初日〜1週間:安全と基本作業(養生、片付け、清掃)
- 2週目〜:資材の扱い、工具の名前、写真撮影
- 1か月〜:先輩の補助として部分作業を担当
まとめ:入口を3つに分け、運用を固定して採用を止めない
未経験の若手採用は、ハローワークだけで戦うと入口が偏ります。地元つながりは紹介依頼文と仕事体験で再現性を出し、SNSは不安解消の投稿と固定CTAで入口化し、求人サイトは原稿の型と即レス運用で取りこぼしを減らします。
明日から試せる一歩は、社内で「一次連絡のSLA(何時間以内に返すか)」を決め、週次15分の採用ミーティングを始めることです。テンプレを共有し、担当が変わっても回る形にすると定着します。
判断軸は「施策を増やす」ではなく「入口ごとの次の一手を固定する」ことです。まずは紹介・SNS・求人サイトの3本立てで、運用を止めない仕組みにしましょう。








