階段・廊下の手すり設置リフォームの費用と補助金活用法|高齢者にも安心な住宅改修ガイド

年齢を重ねるにつれ、「階段の上り下りが怖い」「廊下でふらつく」といった悩みが増えてきます。
こうした転倒リスクを減らすのに最も効果的なのが、手すりの設置リフォームです。

親が高齢になったから階段に手すりをつけたいけど、費用ってどれくらい?

介護保険とか補助金って、こういう小規模リフォームでも使えるの?

この記事では、階段・廊下の手すり設置リフォームの費用相場・補助金制度・施工ポイントを詳しく解説します。
補助金を活用すれば、実質負担を半額以下に抑えることも可能です。


目次

手すり設置リフォームの必要性とメリット

手すり設置リフォーム

高齢者住宅で手すりが求められる理由

  • 日本では65歳以上の転倒事故の約半数が住宅内で発生
  • 特に階段・廊下・浴室は転倒リスクが高い
  • 筋力の低下により、日常的な移動でも「つかまる動作」が必要になる

手すりの設置は「転倒防止」だけでなく、自立支援・介護予防にも直結します。

関連記事:もう迷わない!段差・手すり・スロープの選び方|バリアフリーリフォーム完全ガイド


手すり設置リフォームの費用相場

リフォーム費用は、設置場所・素材・工法によって変わります。
以下は主な設置箇所別の費用目安です。

設置箇所内容費用相場(工事費込)
階段(屋内)壁付けタイプ(約3〜4m)約3〜6万円
廊下壁沿い直線手すり(2〜3m)約2〜4万円
玄関縦型手すり+壁付けタイプ約1〜3万円
浴室・トイレ防水仕様・滑り止め付き約1〜4万円
屋外(玄関アプローチなど)アルミ・ステンレス支柱タイプ約4〜10万円

既存の壁下地に補強が必要な場合、追加費用が1〜3万円発生することもあります。

関連記事:リフォーム費用の内訳とは?見積書に書かれた項目を徹底解説


費用を抑える3つのポイント

費用を抑える3つのポイント

手すり設置は比較的安価なリフォームですが、補助金や工法の工夫でさらにコストダウンが可能です。

  • 1. 壁下地を活かした設置
     → 新たな補強工事を省略でき、費用が約30%減。
  • 2. L型・I型を組み合わせて無駄なく配置
     → 必要な場所にだけ設置すれば、総延長を短縮可能。
  • 3. 介護保険・自治体補助を活用
     → 条件を満たせば実質自己負担1〜2割で設置できる。

工務店に依頼する際は「補助金対応工事」として見積書を作ってもらうと、
申請書類がスムーズに通りやすくなります。


介護保険による住宅改修補助の仕組み

高齢者のための手すり設置は、介護保険制度の「住宅改修費支給制度」を利用できる場合があります。

項目内容
対象者要支援・要介護認定を受けた方
対象工事手すり設置、段差解消、滑り防止など
補助上限額20万円(1割〜3割自己負担)
申請方法ケアマネジャー・市区町村窓口を通じて申請
工事着工前の申請必須(着工後の申請は対象外)

介護保険の補助を利用するには、「要支援・要介護認定」を受けていることが条件です。
未認定の場合は、自治体独自の高齢者住宅改修補助制度を検討しましょう。

関連記事:和歌山県のバリアフリー・高齢者住宅改修支援制度まとめ


自治体の手すり設置補助制度(例)

自治体の手すり設置補助制度
自治体補助内容上限額
神戸市高齢者等住宅改修費補助制度最大10万円(工事費の1/2)
京都市高齢者住宅改造費助成事業最大15万円
大阪市在宅高齢者住宅改修事業最大10万円
西宮市高齢者住宅改修助成制度最大12万円

多くの自治体では、「要支援・要介護未認定の高齢者」でも利用できる補助制度を設けています。
詳細は居住地の福祉課や建築指導課に確認しましょう。

関連記事:兵庫県の住宅リフォームで使える市町村別の補助金まとめ


手すりリフォームの種類と設置位置の考え方

手すりリフォームの種類と設置

階段

  • 壁付け型(最も一般的)
  • 反対側に支柱型を追加する「両側手すり」も安全性が高い
  • 階段の角や踊り場には「L字型」が効果的

廊下

  • 壁に沿って「連続手すり」を設置
  • 曲がり角では「コーナージョイント」を使うと握りやすい

玄関

  • 上り框(かまち)に「縦手すり」+「横手すり」の組み合わせ
  • 屋外階段には滑り止め付きアルミ支柱タイプを

素材選びのコツ

屋内は木製または樹脂被覆、屋外はステンレス・アルミを選ぶと長持ちします。


施工時の注意点

手すりリフォームは簡単に見えて、設置高さや位置のミスが多いリフォームでもあります。

よくある失敗

失敗例原因対策
手すりが高すぎて握れない身長・使用者の想定不足使用者に合わせて高さ調整(75〜85cm)
階段の途中で途切れている設計段階で長さ不足連続設置を基本にする
壁が弱くてぐらつく下地未補強下地補強板を先に設置

高齢者本人だけでなく、介助者の動きや使いやすさも考慮するとより実用的です。

関連記事:耐震リフォームで損しないために|補助金と診断・工事の流れを解説


バリアフリー手すりリフォームの実例と効果

バリアフリー手すりリフォームの実例と効果
施工事例工事内容費用効果
神戸市 70代女性階段・廊下に木製手すり設置約8万円転倒リスク軽減・外出機会増加
京都市 60代夫婦玄関・トイレに手すり新設約6万円立ち座りが安定し、介護負担軽減
西宮市 80代男性屋外階段にアルミ手すり設置約9万円雨天時でも安全に移動可能

「屋内外の導線すべてをカバー」する設計にすることで、転倒リスクを7割以上減少させた事例もあります。


補助金を活用して安全な住まいを実現するステップ

  1. 現地調査・見積もりを依頼(登録業者を選定)
  2. 介護保険・自治体補助の要件を確認
  3. 申請書類・見積書・図面を提出
  4. 補助金交付決定後に工事着手
  5. 完了報告書・写真提出
  6. 補助金振込(約1〜2か月後)

注意

「申請前着工」は原則対象外。
必ず補助金の交付決定後に工事を始めましょう。


まとめ:手すりリフォームは「安全」と「自立」の第一歩

手すりリフォームは「安全」と「自立」の第一歩
  • 階段・廊下の手すりは転倒防止・介護予防に効果的
  • 費用は2〜6万円程度、補助金活用で自己負担を抑えられる
  • 介護保険・自治体制度の併用でさらにお得
  • 設置位置・高さをしっかり計画すれば長く安心

最後に

小さなリフォームでも、生活の安全性と快適性は大きく変わります。
家族の将来を見据えて、早めの手すり設置を検討しましょう。


あなたにぴったりな
工務店を探す

地域で実績ある工務店を紹介します。

工務店一覧はこちら

この記事を書いた人

「くらし建築百科」編集部では、リフォームや住宅設備に関する正確でわかりやすい情報をお届けすることをモットーに、現場の声や専門家の知見をもとにした記事制作を行っています。
初めてリフォームを検討する方から、業者選びで悩んでいる方まで、暮らしの選択に役立つ“建築の知恵”を発信しています。

目次