マンションのリフォームは「設備を入れ替えれば終わり」ではありません。管理規約の確認、管理組合への申請、工事時間の制限、共用部の養生、近隣への配慮など、戸建てよりも調整ごとが多くなります。依頼先がマンションに不慣れだと、申請のやり直しや工期延長、近隣クレームに発展することもあります。
管理規約って、どこまで確認すればいいの?キッチンやお風呂の交換でも申請が必要なのかな…。
近所への挨拶や養生って、業者がやってくれるもの?クレームが来たらどうなるのか不安です。
結論として、マンションリフォームに強い会社は、管理規約の読み解き・申請段取り・近隣配慮を「標準業務」として扱っています。本記事では、生活者が見落としやすい確認ポイントを整理し、失敗しない会社選びの判断材料をまとめます。
なお、マンションでは「できない工事」「やってはいけない施工」が管理規約で決まっているケースがあります。工事可否の判断に迷ったら、関連記事も合わせて確認してください。
関連記事:マンションリフォームでできない工事まとめ|管理規約で制限される工事内容を徹底解説
マンションリフォームが難しい理由|戸建てと違う3つの制約


マンションリフォームの難しさは「工事の技術」よりも「制約の多さ」にあります。特に、次の3点が戸建てと大きく違います。
- 管理規約・使用細則により、工事内容や工法が制限される
- 管理組合への申請、管理会社との調整が必要になる
- 近隣や共用部に影響が出やすく、クレーム対策が重要になる
キッチンや浴室などの水回りは、騒音や搬入出が発生しやすいため、申請手続きが必要な物件も多いです。逆に、申請が不要でも「工事可能時間」「エレベーター養生」「廃材搬出ルート」など、管理側のルールに沿う必要があります。
マンションに強い会社ほど、物件ごとのルール確認を「現地調査の一部」として自然に実施します。最初の相談段階で、規約や申請書類の話が出るかどうかが見分けポイントになります。
マンションリフォームに強い会社の見分け方|まずはこのチェック表
「何を基準に業者を選べばいいか分からない」という方向けに、最低限チェックしたい項目を表にまとめました。見積もりを取る前に、会社の対応を見ながら確認しましょう。
| チェック項目 | 強い会社の特徴 | 弱い会社のサイン |
|---|---|---|
| 管理規約の確認 | 規約・細則・工事申請の有無を最初に確認する | 「現場で見れば分かる」と言い、規約を見ない |
| 申請・管理組合対応 | 申請書類の作成や提出段取りを説明できる | 申請は施主任せ、提出期限の説明がない |
| 近隣配慮・共用部養生 | 養生範囲、搬入経路、挨拶の方針が明確 | 「当日対応で大丈夫」と軽く扱う |
| 水回り・配管の知見 | 配管更新や勾配、排水音対策まで提案できる | 設備交換の話のみで、配管の説明がない |
| 実績提示 | 同規模・同築年のマンション事例を提示できる | 戸建て事例ばかり、写真が少ない |
| 見積もりの透明性 | 諸経費・養生・搬入費など内訳が明確 | 一式表記が多く、説明があいまい |
この表のうち、特に重要なのは管理規約の理解と、近隣・共用部トラブルを未然に防ぐ体制です。価格や設備グレードだけで選ぶと、後から追加費用や揉め事が起きやすくなります。
管理規約・申請に強い会社は「確認の順番」が違う


マンションリフォームに慣れている会社は、提案より先に「できる・できない」を仕分けします。理由はシンプルで、規約に反する提案はやり直しになるからです。
具体的には、次の順番で確認が進みます。
- 管理規約・使用細則・工事細則の確認
- 申請が必要な工事範囲(設備交換、配管、床材など)の確認
- 工事可能時間、搬入出ルール、養生範囲の確認
- 必要書類(図面、工程表、使用材料、作業員名簿など)の整理
この時点で「規約を見せてください」「管理会社の連絡先を教えてください」と自然に言える会社は安心です。一方で、規約を見ずにプランを先に作る会社は、申請段階で手戻りが発生しやすくなります。
管理規約の制約は物件ごとに違います。床材の遮音等級(L値)や、給排水の更新範囲、窓・玄関ドアの改修可否など、よくある制限を先に知っておくと話が早くなります。
近隣対応・共用部養生が弱いと、工事が止まることもある
マンションで起きやすいトラブルは、仕上がりよりも「工事中のストレス」です。音・振動・粉じん・エレベーターの使用・共用廊下の汚れなど、生活への影響が見えやすいからです。
近隣トラブルを防ぐために、依頼前に確認したいこと
- 工事前の近隣挨拶は「誰が」「いつ」「どこまで」実施するか
- 共用部の養生範囲(エレベーター内部、廊下、玄関周り)の説明があるか
- 作業時間の厳守(開始・終了時刻)と、延長時の連絡ルールがあるか
- ゴミや廃材の一時置き場、搬出ルートが決まっているか
「近隣挨拶は施主がやってください」と言われるケースもありますが、マンションに強い会社は、施主の負担を減らす段取りを提示します。挨拶文の用意、粗品の準備、管理人室への説明などを含めて、標準対応にしている会社は安心です。
もし工事中にクレームが入った場合は、初動が重要です。現場任せにせず、会社として管理会社・近隣・施主へ報告ができる体制かどうかを確認しましょう。
関連記事:工事中に隣家からクレームが来た時の正しい対応方法|謝罪・補償・業者連携の手順
実績チェックのコツ|「マンションの条件が近い事例」を見せてもらう


マンションリフォームの実績を見るときは、写真のきれいさだけで判断しないことが大切です。ポイントは「自分の家と条件が近い事例かどうか」です。
具体的には、次の条件が近い事例を見せてもらいましょう。
- 築年数(築20年、築30年など)
- 工事範囲(水回りのみ、間取り変更ありなど)
- 配管の状態(更新の有無、段差・勾配の調整など)
- 管理規約の制約(遮音等級、工事時間、搬入制限など)
例えば築30年前後のマンションでは、設備交換と同時に配管や下地の傷みが見つかりやすく、追加工事が発生することがあります。ここを見越して現地調査を丁寧に行い、見積もりに反映してくれる会社は信頼できます。
水回りの老朽化が不安な方は、事前にチェックポイントを押さえておくと、現地調査の精度が上がります。
関連記事:築30年の水回りはこう直す!老朽化チェックとリフォームの考え方
見積もりで分かる「慣れている会社」|諸経費・養生・搬入の扱いを見る
マンションは共用部の養生や搬入出の手間が増えるため、戸建てよりも見積もり項目が増えやすいです。ここを一式でまとめてしまう会社は、後から追加請求が出るリスクがあります。
見積もりで最低限確認したいのは、次のような項目です。
- 養生費(エレベーター・廊下・玄関)
- 搬入出費(階数・エレベーター使用制限がある場合)
- 廃材処分費(分別ルール、搬出時間の制限がある場合)
- 諸経費(現場管理費、交通費、管理会社対応など)
見積もりの透明性は、そのまま「説明の丁寧さ」と「現場管理の質」に直結します。分からない項目を質問したときに、根拠を言葉で説明できる会社を選びましょう。
関連記事:リフォーム追加工事で費用が増える原因と回避するための準備|後悔しないための実践ガイド
担当者との相性も重要|質問への答え方で見抜く


同じ会社でも、担当者によって提案力や段取りの丁寧さが変わります。マンションリフォームでは調整事項が多いため、「質問への答え方」がそのまま工事中の安心感につながります。
相談時に、次のような質問を投げかけて反応を見てください。
- 管理規約で制限されやすい工事は何ですか
- 申請はいつまでに、どの書類が必要ですか
- 近隣挨拶はどこまで対応しますか
- 工事中にクレームが来た場合、誰が対応しますか
- 追加工事が出た場合、費用と工期はどう決めますか
回答が具体的で、手順や判断基準が明確なら安心です。逆に「大丈夫です」「問題ありません」と短く終わる場合は、どこまでが対応範囲なのか曖昧になりやすいので注意しましょう。
関連記事:“値引きします”に隠れた罠|悪質リフォーム営業が使う4つの心理テクニック
マンションリフォームの進め方|失敗しないための段取り
最後に、マンションリフォームをスムーズに進める段取りをまとめます。流れを知っておくと、会社比較の基準がぶれません。
マンションリフォームの基本ステップ
- 管理規約・工事細則を確認する(できない工事を先に把握する)
- 現地調査で配管・下地・搬入経路を確認する
- 見積もりの内訳(養生・諸経費・追加工事の条件)を確認する
- 管理組合へ申請し、承認後に着工する
- 工事中は連絡窓口を一本化し、クレーム対応の流れを決める
- 完工後は立ち会いで仕上がりと設備動作をチェックする
特に「完工後の立ち会い」は重要です。マンションは共有配管や躯体の影響で、軽微な不具合が後から出ることもあります。引き渡し時にチェック項目を持って確認すると安心です。
マンションリフォームに強い会社は、管理規約・申請・近隣配慮を「追加対応」ではなく「当たり前の段取り」として組み込んでいます。相見積もりを取るときは、金額だけでなく、説明の具体性とトラブル予防の体制を比較して選びましょう。結果として、工事中の不安が減り、納得できる仕上がりにつながります。










