兵庫県は南北に長く、都市部から農村、山間部、そして瀬戸内海沿岸まで多様な地域特性を持っています。
その中でも神戸市・姫路市・西宮市は人口規模が大きく、住宅事情や生活スタイルも地域ごとに異なります。
この違いはリフォーム需要や工事内容にも色濃く反映されます。
本記事では、統計データや現場経験に基づき、各市の住宅事情・気候・住民層などの地域特性を踏まえて、リフォームの傾向を解説します。
1. 神戸市のリフォーム傾向

1-1. 住宅事情と地域性
神戸市は北区・西区の戸建住宅地から、中央区・東灘区のマンション密集エリアまで、住宅形態が非常に多様です。
特に東灘区や灘区は阪神間の高級住宅街として知られ、外観デザインや内装にこだわるリフォーム需要が目立ちます。
また、震災後に建てられた住宅が築20〜25年を迎えており、外壁塗装・屋根の葺き替え・水回り更新といった耐久性回復リフォームが増加傾向にあります。
1-2. 人気のリフォーム内容
- マンションリノベーション(中央区・東灘区)
間取り変更や水回り一新など、中古マンション購入後の全面改装。 - 外壁・屋根のメンテナンス(垂水区・須磨区)
塩害対策として耐久性の高い塗料や屋根材が選ばれる。 - 断熱性能向上リフォーム(北区)
冬の寒さ対策として内窓設置や断熱材追加が増加。
1-3. 気候と立地条件による特徴
- 沿岸部(中央区・須磨区):潮風による金属部のサビ、外壁劣化が早い
- 山間部(北区):冬季の寒さ対策、凍結防止が必須
2. 姫路市のリフォーム傾向

2-1. 住宅事情と地域性
姫路市は戸建住宅率が高いのが特徴で、比較的広い敷地を持つ住宅が多く見られます。
また、姫路城周辺の景観地区では外観デザインや使用材料に制限があるため、リフォーム計画時に行政との調整が必要です。
築30年以上の住宅も多く、耐震補強工事や水回り設備の全面更新といった「安全性・快適性の両立」を目的とした工事が増えています。
2-2. 人気のリフォーム内容
- 耐震補強工事
木造住宅の柱・梁の補強、基礎補強など。 - キッチン・浴室の最新化
家族構成の変化に合わせた使いやすい水回り設備への更新。 - 外構リフォーム
カーポート・門扉の更新や庭の整備。
2-3. 気候と立地条件による特徴
- 台風被害への備え:屋根材の固定強化や雨樋の耐風仕様化が人気
- 郊外エリア:農業用施設併設住宅も多く、倉庫や納屋の改修需要あり
3. 西宮市のリフォーム傾向

3-1. 住宅事情と地域性
西宮市は阪神間の高級住宅地(夙川・苦楽園)を抱える一方、南部は駅近のマンション群が広がります。
築浅〜中堅年数の住宅が多く、デザイン性や機能性を重視するリフォームが目立ちます。
子育て世代や高齢者向けのバリアフリー化も増えており、ライフステージの変化に合わせた改修が盛んです。
3-2. 人気のリフォーム内容
- 高級感を重視した内装リフォーム(北部高級住宅地)
天然石の床材、造作家具、間接照明など。 - マンションの水回り更新(南部)
築15〜20年のマンションでのキッチン・浴室リフォームが多い。 - バリアフリー化
段差解消、手すり設置、引き戸化など。
3-3. 気候と立地条件による特徴
- 沿岸部:塩害対策が必要
- 山手エリア:冬の冷え込み対策として断熱改修が人気
4. 市ごとのリフォーム需要を左右する要因
- 築年数の分布
神戸:震災後築20〜25年がリフォーム適齢期
姫路:築30年以上の木造戸建が多く耐震需要大
西宮:築15〜20年の更新需要+デザインリフォーム - 住宅形態
神戸・西宮:マンション比率高め
姫路:戸建率高く敷地広め - 気候条件
沿岸部:塩害・防錆対策
内陸・山間部:断熱・防寒対策 - 住民層の特徴
西宮:富裕層・子育て世帯のニーズ
姫路:地元密着型・実用性重視
神戸:デザイン・性能の両立志向
5. まとめ
同じ兵庫県内でも、神戸・姫路・西宮では住宅事情・築年数・住民層・気候条件が異なるため、リフォームの傾向にも大きな違いがあります。
- 神戸:マンションリノベ+耐久性回復リフォームが多い
- 姫路:耐震補強や戸建の水回り更新、外構工事が中心
- 西宮:デザイン性・バリアフリー・築浅住宅の更新需要
これらの地域特性を理解して提案することで、工務店やリフォーム会社は顧客満足度を高めることができます。
一方、施主側も地域特有の条件を踏まえて計画を立てることで、より納得のいくリフォームが実現します。