フルリフォームvs部分リフォームの予算シミュレーション|300万・500万・1000万でできる工事の違い

「フルリフォームにするか、部分リフォームにするか迷っている」「300万・500万・1000万の予算でどこまでできるのか知りたい」という方は多いです。とはいえ、ネット上の相場情報は漠然としていて、自分の家に置き換えたイメージがしにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

築30年の一戸建てで「水回り+内装」をまとめて直したいのですが、フルリフォームだと2,000万くらい必要と言われて不安です…。300万〜1000万の予算なら、どこまで現実的に直せますか?

中古マンションを買って、自分好みにリフォームしたいです。フルリノベまでは難しいけれど、500万くらいでどこまでできるのか、部分リフォームとの違いを知りたいです。

そこで本記事では、「フルリフォーム」と「部分リフォーム」の違いを整理したうえで、300万・500万・1000万という具体的な予算帯ごとに、現実的なプランの組み立て方をシミュレーションします。

あわせて、予算オーバーを防ぐための見積もりの見方や、追加工事・諸経費への備え方、リフォームローンや補助金も含めた資金計画の考え方まで、順番に解説します。

目次

フルリフォームと部分リフォームの違いとは?

まずは「フルリフォーム」と「部分リフォーム」の違いを整理しておきましょう。どこまで手を入れるかによって必要な予算も大きく変わるため、最初に方向性を決めておくことが大切です。

項目フルリフォーム(フルリノベーション)部分リフォーム
工事範囲家全体(間取り変更・配管・断熱なども含むことが多いです)キッチン・浴室・トイレなど特定の部位に限定
工期1〜3か月程度が目安数日〜数週間程度
仮住まい必要になるケースが多いです不要なケースも多いです(在宅工事がしやすい)
予算の目安マンションで500万〜1000万超、一戸建てで800万〜2000万超になることも1か所あたり数十万〜200万前後が中心
メリット家全体を自分好みに一新し、性能もまとめて底上げできる予算に合わせて優先順位を決めて進められる
デメリット一度に大きな予算が必要・工期も長め家全体のバランスが取りづらく、「ここだけ古い」という印象が残ることも

一般的に、戸建てやマンションを「スケルトン」に近い状態まで解体し、間取りや配管、断熱性能などをまとめて見直す場合は、フルリフォーム(フルリノベーション)と呼ばれます。一方で、キッチンや浴室、外構など一部だけを直す場合は部分リフォームに分類されます。

フルリフォームにするか、部分リフォームを積み上げていくかは、家の状態と予算のバランスで決めるのが基本です。築年数が古く、構造や配管まわりに不安がある場合は、部分リフォームを繰り返すよりも、まとめてフルリフォームした方が結果的に割安になるケースもあります。

「どこまで手を入れるべきか迷う」という場合は、まず希望する工事内容を洗い出し、フルリフォーム・部分リフォームそれぞれの概算見積もりを比較してもらうと、判断しやすくなります。

【予算別】300万・500万・1000万でできるリフォームのイメージ

次に、実際の予算帯ごとに「どこまでできるのか」をイメージしやすいよう、代表的なパターンを紹介します。あくまで一例ですが、自宅の築年数や広さと照らし合わせながら読んでみてください。

予算300万:水回り1〜2か所+内装などの部分リフォーム向き

300万前後の予算は、「家全体を一新する」というよりも、劣化が気になっている場所の優先順位を決めて部分的に改善していくイメージに近いです。

例えば、次のような組み合わせが現実的です。

  • 戸建て・マンション問わず、システムキッチンの交換(中価格帯の商品)
  • ユニットバスの交換(サイズにもよりますが、標準的なグレード)
  • トイレ交換+一部クロス張り替え
  • リビング・廊下などの床や壁の張り替え

300万という枠の中で、「老朽化が進んでいる場所」「毎日使う場所」「生活の不便さを強く感じている場所」を優先するのがポイントです。たとえば築30年で水回りがかなり古くなっている住宅であれば、キッチン・浴室といった水回りを優先するケースが多くなります。

注意点として、設備本体の価格だけでなく、解体・配管工事・下地補修などの工事費も含めて考える必要があります。商品グレードを上げすぎると、あっという間に予算を超えてしまうこともあるため、仕様のメリハリを意識しましょう。

リフォーム予算の内訳をより詳しく知りたい場合は、関連記事:リフォーム費用の内訳とは?見積書に書かれた項目を徹底解説も参考になります。

予算500万:水回り+内装のセットやマンションの大規模リフォーム向き

500万前後になると、戸建て・マンションともに「水回り2〜3か所+内装一式」といった、ある程度ボリュームのあるリフォームが現実的になってきます。

一例として、次のようなプランが考えられます。

  • 中古マンション(60〜70㎡)のキッチン・浴室・洗面・トイレ交換+全室クロス張り替え
  • 戸建てでキッチン・浴室を中心に、水回り全体+LDKの床・壁を一新
  • 間取りは大きく変えず、設備と内装を中心に「見た目」と「使い勝手」を改善

一方で、500万の予算で家全体のフルリフォームを行うのは難しいケースが多いです。特に一戸建てで構造部分や断熱性能まで見直す場合は、工事範囲が広くなるためです。

そのため、築年数が浅めの住宅や、構造的に問題がないと診断された住宅であれば、「水回りとLDKに重点配分→個室などは最低限の内装にとどめる」といったメリハリのある計画が向いています。

予算1000万:フルリフォームに近い計画も視野に入る

1000万前後の予算が確保できると、特にマンションでは「ほぼフルリノベーション」に近い計画も検討しやすくなります。一戸建ての場合でも、延床面積や劣化状況によってはフルリフォームが視野に入ります。

具体的には、次のような工事内容が組み立てやすくなります。

  • マンションをスケルトン状態に近づけての間取り変更(和室をLDKに取り込むなど)
  • 全室の床・壁・天井の仕上げを一新
  • キッチン・浴室・洗面・トイレなど水回り設備の総入れ替え
  • 断熱性能の向上(内窓・断熱材追加など)

一戸建ての場合は、構造の補強や外壁・屋根のリフォームまで含めると1000万を超えることもあります。逆に、外回りを現状維持とし、内装・水回り・断熱を中心に予算配分することで、1000万以内に収めるパターンもあります。

どの予算帯でも共通するのは、「したいこと」ではなく「しないと困ること」から優先順位をつけることです。見た目を整えるだけの工事よりも、雨漏り・腐食・配管の老朽化など、暮らしの安全性や快適性に直結する部分への投資を優先しましょう。

フルか部分かを決める前に確認したい3つのポイント

フルリフォームに踏み切るか、部分リフォームを積み重ねていくかを決める際は、次の3点をあらためて確認しておくと判断しやすくなります。

ポイントは次の3つです。

  • 築年数と構造・配管の状態
  • 家族構成と今後のライフプラン
  • 将来の売却・賃貸など資産価値の考え方

築30〜40年を超える一戸建ての場合、外壁や屋根、水回り設備だけでなく、土台・柱・配管など見えない部分の劣化も進んでいる可能性があります。その場合、表面的な部分リフォームを繰り返すよりも、一度スケルトンに近い状態まで戻して根本から見直す方が安心できるケースもあります。

また、今後の家族構成をふまえた間取り変更の必要性も大事です。子どもが独立して部屋数を減らしたいのか、二世帯同居に備えたいのかなど、将来像によって必要な工事内容は大きく変わります。

「いつか売却する可能性もある」という場合には、必要以上に個性的な間取りにせず、一般的なニーズに合うプランにしておくこともポイントです。このあたりの考え方は、関連記事:リフォームとリノベーションの違いって?意味・費用・事例を比較も参考になります。

予算オーバーを防ぐ見積もり・追加工事のチェックポイント

同じ「300万のリフォーム」でも、工務店によって見積もりの書き方や含まれている範囲は少しずつ異なります。フルリフォーム・部分リフォームのどちらを選ぶにしても、予算オーバーを防ぐには「見積書の中身」をしっかり確認することが欠かせません。

特にチェックしたいのは、次のような項目です。

  • 解体工事・廃棄処分費がどこまで含まれているか
  • 水回り工事の配管・電気工事費が含まれているか
  • 諸経費(共通仮設費・現場管理費など)の割合が妥当か
  • 「一式」としか書かれていない項目が多すぎないか
  • 追加工事が発生する可能性と、その際の単価・計算方法

特に「諸経費」は、内容が分かりにくい項目の代表です。諸経費の意味や妥当な範囲については、関連記事:リフォーム見積もりの“諸経費”とは?内訳と妥当性の見極め方で詳しく解説しています。

また、工事途中で床をめくったり、壁の中を開けてみないと分からない劣化が見つかることもあります。そうした場合は追加工事が必要になり、結果として総額が大きく変わるケースもあります。

追加工事が発生しやすい箇所や、事前に確認しておきたいルールについて知っておくと、見積もり段階での不安も減らせます。

そもそもの「工事ごとの相場感」を知っておきたい場合は、関連記事:相場より高い?安い?工事別リフォーム費用の目安まとめをチェックしておくと、自分の見積もりが極端に高すぎないか、逆に安すぎて不安なケースではないかの判断材料になります。

リフォームの資金計画|ローン・補助金・支払い方法の基本

300万〜1000万クラスのリフォームでは、自己資金だけでなく、リフォームローンや住宅ローンの借り換え、自治体や国の補助金を組み合わせて資金計画を立てるケースも多いです。

資金計画を立てる際のポイントは、次の通りです。

  • 自己資金として無理なく出せる金額をまず決める
  • リフォームローン・住宅ローンのどちらを使うか比較する
  • 利用できるリフォーム補助金があれば、工務店と相談して申請を検討する
  • 着工金・中間金・完工金など支払いのタイミングを確認しておく

リフォームローンと住宅ローンの違いや、どのようなケースで使い分けるとよいかは、関連記事:リフォームローンと住宅ローンの違いは?賢い資金調達方法まとめで詳しく紹介しています。

また、「現金・ローン・補助金をどう組み合わせるか」「頭金はいくらにすべきか」といった具体的な支払いプランについては、関連記事:リフォーム費用の支払い方法まとめ|現金・ローン・補助金の上手な活用術も参考になります。

フルリフォームであっても部分リフォームであっても、「どうしても今必要な工事」と「将来でも良い工事」を切り分けて、段階的に進めるという考え方も大切です。無理のない返済計画の範囲で、優先順位をつけて進めていきましょう。

まとめ|予算300万・500万・1000万を軸に、フルリフォームと部分リフォームを使い分けましょう

本記事では、フルリフォームと部分リフォームの違いを整理しながら、300万・500万・1000万という予算帯ごとに、現実的な工事内容のイメージを紹介しました。

ポイントを整理すると、次の通りです。

  • 300万前後は、水回り1〜2か所+内装など「気になる箇所の優先リフォーム」に向く
  • 500万前後になると、水回り一式+内装など「生活の中心部分をまとめてリニューアル」しやすい
  • 1000万前後では、マンションのフルリノベーションや、一戸建ての大規模リフォームが視野に入る
  • 築年数や劣化状況、ライフプラン、資産価値の考え方によって、フルか部分かの最適解は変わる
  • 見積もりの内訳・諸経費・追加工事のルールを確認し、資金計画とあわせて検討することが大切

予算の数字だけを見ると不安になりがちですが、工務店に家の状態を診断してもらい、優先順位を整理していくことで、「今やるべき工事」「数年後でも良い工事」が見えてきます。地元で実績のある工務店であれば、補助金や減税制度も含めてトータルに相談しやすいでしょう。

関連記事:リフォーム費用の内訳とは?見積書に書かれた項目を徹底解説

あなたにぴったりな
工務店を探す

地域で実績ある工務店を紹介します。

工務店一覧はこちら

この記事を書いた人

「くらし建築百科」編集部では、リフォームや住宅設備に関する正確でわかりやすい情報をお届けすることをモットーに、現場の声や専門家の知見をもとにした記事制作を行っています。
初めてリフォームを検討する方から、業者選びで悩んでいる方まで、暮らしの選択に役立つ“建築の知恵”を発信しています。

目次