床の傾き・建具のズレ…施工後すぐに発覚する“軽微な不具合”の原因と対処法【実例付き解説】

リフォームが完了して一安心…と思った矢先、
「なんだか床が微妙に傾いてる?」
「ドアが擦れて閉まりにくい…」

施工から数週間で建具のズレに気づいたけど、これってやり直してもらえるの?

床の傾きがあるけど、業者に言うべきレベルなのか分からない…

こうした“軽微な施工不具合”は、リフォーム後によく起こるトラブルの一つです。
放置しても大きな問題にならないケースもあれば、構造や施工精度の不具合が隠れている場合もあります。

この記事では、床の傾き・建具のズレなどが起きる原因と対処法、業者への正しい伝え方を詳しく解説します。


目次

床の傾き・建具のズレは「軽微な不具合」?それとも施工ミス?

まず知っておきたいのは、「軽微な不具合」と「施工不良」は異なるという点です。
次の表で違いを整理しておきましょう。

区分内容主な原因業者対応の有無
軽微な不具合使用中に起きる小さなズレ・調整範囲木材の乾燥、建物の微振動、温度差無償調整で対応可
施工不良施工精度や手順の誤りによる問題不適切な施工・水平確認ミス再施工・保証対応あり

床のわずかな傾き(数mm程度)は「許容範囲」とされることもあります。
ただし、体感で分かるほど傾いている場合は再施工レベルの不具合と考えましょう。

関連記事:手抜き工事を見抜けなかった…リフォームでよくある“隠れた施工不良”とは?


床の傾きが発生する原因と見分け方

床の傾きには、施工ミス・構造歪み・経年変化などさまざまな要因が関係します。

① 床下地の水平調整ミス

リフォーム時に床を新設・上貼りする際、下地(根太や合板)の水平を正確に取らないと、
わずかな誤差が部屋全体に影響します。

  • レーザー水平器で確認していない
  • 既存床に歪みがあるのにそのまま施工した
  • クッションフロア・フローリング厚みの違いを考慮していない

特に既存住宅の上貼り工事では、施工前の下地チェックを怠ると傾きが生じやすいです。

関連記事:フローリングとクッションフロア、どっちがおすすめ?性能・価格・施工比較まとめ


② 構造体の沈下・歪み

古い木造住宅や築30年以上の家では、建物全体が経年による歪みや沈下を起こしていることがあります。

  • 基礎コンクリートの沈下
  • 柱・梁の反り
  • 湿気や白蟻による構造劣化

チェック法

  • ビー玉を床に転がす(自然に転がる場合は傾斜あり)
  • 水平器アプリで床面を測定(3mm/m以上の傾きで要確認)

③ 仕上げ材の施工精度の問題

最近多いのが、リフォーム時の仕上げ工程での誤差

  • フローリングのジョイント部での段差
  • 接着剤の厚みムラ
  • 端部の不均一なカット

“職人の技術差”によるものも多く、調整で直せる範囲です。
気になる場合は「1〜2mmでも体感的に違和感がある」と具体的に伝えるのがコツです。


建具(ドア・窓・引き戸)のズレ・開閉不良の原因

建具のズレや開閉不良は、調整金具のゆるみ湿気による木材の伸縮で起きることが多いです。

原因内容対処法
ヒンジの緩み長期間の使用や衝撃でズレるドライバーで再固定
木材の伸縮湿気や乾燥でドアが反る季節で調整が必要
施工時の建付け誤差枠の歪み・壁面傾き再調整または再施工
戸車の摩耗(引き戸)使用頻度が多い箇所で発生戸車交換・レール清掃

施工直後でも、1〜2か月経過で木材が“落ち着く”まではズレが起こりやすいです。
初回のアフター点検で必ずチェックしてもらいましょう。

関連記事:水回りリフォームで起きやすいトラブル事例と保証対応の流れ


不具合が出た時の対応ステップ

リフォーム後に気づいた「軽微な不具合」は、焦らず次の順序で対応しましょう。

  • 1. 写真や動画で不具合を記録
     → 施工状況・ズレの程度を明確に残す。
  • 2. 契約書・保証書を確認
     → 引き渡し後の保証期間を把握。軽微な不具合なら1〜2年の保証範囲が一般的。
  • 3. 施工業者へ具体的に伝える
     → 「床が◯mm沈んでいる」「ドアが擦る」と数値で説明。
  • 4. 調整・補修のスケジュールを共有
     → 無償対応か有償かを確認。口頭ではなくメールで残すのが確実。

多くの工務店・リフォーム業者では、引き渡し後1年以内の軽微不具合は無償対応
時間が経ってからの申告でも、写真記録があるとスムーズに対応してもらえます。

関連記事:リフォーム契約トラブル事例集|増額・遅延・中途解約の注意点


不具合を放置するとどうなる?放置リスク3選

軽微だからと放置してしまうと、次のような問題に発展する恐れがあります。

リスク内容
床の沈み拡大下地の劣化が進行し、補修費が倍増する
建具の変形枠ごと歪み、ドア全交換が必要になる
構造への影響壁・床・天井の接合部に隙間ができる

「見た目だけのズレ」と思っても、構造的な歪みのサインである可能性があります。
特に築年数の古い住宅では早めの点検を。


表:床・建具トラブルの主な原因と対処法まとめ

不具合主な原因自分でできる対応業者対応の目安
床の傾き下地調整ミス/基礎沈下水平器で測定改修・再施工
フローリングの浮き接着剤の乾燥ローラーで圧着無償補修
ドアのズレヒンジ緩み・反りドライバー調整アフター対応
引き戸の擦れ戸車摩耗レール掃除戸車交換
壁と床の隙間湿度変化・歪みコーキング補修状況確認

DIYで直せる範囲を超える場合は、工務店に現地確認を依頼するのが安全です。


「軽微な不具合」に強い業者を選ぶコツ

リフォーム後の満足度を左右するのは、施工後のフォロー体制です。

  • アフター点検を「施工3か月後・1年後」に実施している
  • 不具合報告の窓口(LINE・フォーム)が明示されている
  • 施工保証書を発行している
  • 自社職人が在籍しており再施工対応が早い

大手よりも地域密着型の工務店のほうが、アフター対応が柔軟な傾向があります。
契約前に「小さな不具合時の対応方法」を確認しておきましょう。

関連記事:地域密着工務店と大手ハウスメーカー、どちらを選ぶべきか?


まとめ:軽微な不具合も「早期発見・早期相談」が鉄則

  • 床の傾きや建具ズレは、施工後1〜3か月で発覚しやすい
  • 多くは「調整・補修」で解決できる範囲
  • 原因は「下地」「湿気」「施工精度」のいずれかに分類
  • 写真記録とメール報告でトラブルを防げる
  • アフター体制の整った業者を選ぶことが重要

不具合を放置せず、「気づいたらすぐ報告」が安心リフォームの鉄則。
早めの相談が、後悔しない家づくりへの第一歩です。


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