家の改修を考えるとき、よく耳にする言葉が 「リフォーム」と「リノベーション」。
どちらも「住宅を新しく快適にする工事」を指すことが多いですが、実は意味や目的、費用感が大きく異なります。
本記事では、両者の定義の違いから、費用の相場、具体的な工事事例までを比較しながら解説します。
「自分の家に必要なのはリフォーム?それともリノベーション?」と悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
リフォームとリノベーションの定義
まずは基本的な意味の違いを整理しましょう。
リフォームとは?

- 意味:老朽化した部分や不具合を「元の状態に戻す」工事
- 目的:修繕・改善
- 例:壁紙の張り替え、屋根の修繕、キッチン交換、外壁塗装
つまり、リフォームは 「マイナスの状態をゼロに戻す工事」 と言えます。
リノベーションとは?

- 意味:建物に大規模な改修を行い、新しい価値を生み出す工事
- 目的:性能やデザインを大幅に向上させる
- 例:間取り変更、スケルトンリノベーション、断熱性能強化
リノベーションは 「ゼロをプラスに変える工事」 と表現されることが多いです。
リフォームとリノベーションの比較表
項目 | リフォーム | リノベーション |
---|---|---|
目的 | 老朽化部分の修繕・原状回復 | 住まいの性能・価値を向上 |
工事規模 | 部分的(小〜中規模) | 大規模(家全体) |
費用相場 | 数十万〜数百万円 | 数百万円〜数千万円 |
工期 | 数日〜1ヶ月 | 2ヶ月〜半年 |
代表例 | 壁紙張替え、キッチン交換 | 間取り変更、スケルトン工事 |
費用相場の違い

リフォームの費用相場
- トイレ交換:20〜40万円
- キッチン交換:50〜150万円
- 外壁塗装:80〜150万円
- 浴室リフォーム:80〜150万円
多くは 数十万〜200万円程度 が中心です。
リノベーションの費用相場
- 部分リノベ(リビング拡張・間取り変更):200〜500万円
- マンション全体のスケルトンリノベ:600〜1,200万円
- 戸建てフルリノベ:800〜2,000万円
一般的には リフォームの3倍以上の費用感 になります。
事例で見るリフォームとリノベーション
リフォームの事例
- 築20年のマンションの壁紙と床を張替え
- 費用:約80万円
- 効果:新築同様の内装に戻り、清潔感がアップ。
- キッチンの設備更新
- 費用:約120万円
- 効果:古いガスコンロからIHシステムキッチンに変更し、掃除も簡単に。
リノベーションの事例
- 3LDKのマンションを2LDK+ワークスペースに間取り変更
- 費用:約700万円
- 効果:テレワーク対応で使いやすい住まいに進化。
- 築40年の戸建てを断熱・耐震性能向上+間取り変更
- 費用:約1,200万円
- 効果:新築並みの性能を実現し、二世帯住宅として再利用可能に。
どちらを選ぶべき?判断基準

リフォームが向いているケース
- 設備が古くなったので交換したい
- 予算を抑えて暮らしやすさを改善したい
- 大掛かりな工事は避けたい
リノベーションが向いているケース
- 家の性能を根本的に改善したい
- ライフスタイルの変化に合わせて間取りを大きく変えたい
- 「新築のようにしたい」が目標
ポイントは 「不便の解消」か「理想の実現」か です。
メリットとデメリットの違い
リフォームのメリット
- 費用が比較的安い
- 工期が短く、生活への影響が少ない
- 部分的な改修が可能
リフォームのデメリット
- 建物全体の性能向上にはつながらない
- 根本的な不満は解決できない場合もある
リノベーションのメリット
- 新築並みの性能・デザインを実現できる
- ライフスタイルに合わせたオリジナル空間をつくれる
リノベーションのデメリット
- 費用が高額になりやすい
- 工期が長く、仮住まいが必要になるケースも
よくある質問(Q&A)
Q1. リフォームとリノベーションの境界はどこ?
A. 厳密な線引きはありませんが、小規模修繕=リフォーム、大規模改修=リノベーション と考えると分かりやすいです。
Q2. 補助金はどちらにも使える?
A. 省エネや耐震改修を目的とした工事であれば、リフォーム・リノベーションどちらも対象になります。
Q3. 費用を抑えたいときは?
A. リフォームの中でも「部分工事(キッチンだけ、壁紙だけ)」を選ぶとコストを抑えやすいです。
まとめ:違いを理解して最適な選択を

- リフォーム:老朽化や不具合を直して「快適さを取り戻す」工事
- リノベーション:間取りや性能を変えて「新しい価値を生み出す」工事
費用や工期、目的は大きく異なります。
「現状の不満を解消する」ならリフォーム、「理想の住まいを実現する」ならリノベーション、と選ぶのが基本です。
これから工事を検討する方は、まずは自分の希望や予算に合うのはどちらかを整理し、信頼できる工務店に相談するのがおすすめです。