屋根リフォームを検討したとき、多くの方が最初に驚くのはその「金額」です。
見積書を見ると、数十万円〜100万円以上になるケースも少なくなく、なぜこんなに高いのかと疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言えば、屋根工事は「安全確保」「工期」「材料費」「人件費」など、他のリフォームに比べてコストがかかる要素が多いため高額になりやすいのです。
本記事では、屋根リフォームの費用が高い理由を整理しつつ、工法別・素材別の費用の仕組みを分かりやすく解説します。
屋根リフォームが高額になる主な理由

1. 足場の設置が必須
屋根リフォームのほとんどの工事では、安全確保のために足場の設置が必要です。
- 足場費用:20〜30万円前後(2階建て住宅の場合)
外壁塗装と違って屋根は傾斜があるため、落下防止のための足場や安全ネットが必須となります。これが見積金額を大きく押し上げる要因です。
2. 高所作業の人件費
屋根の工事は高所作業であり、危険を伴います。そのため職人の技術料・人件費が高めに設定されています。
3. 材料費が高い
屋根材は家全体を守る部分なので、耐久性・耐水性・耐火性に優れた素材が使われます。スレート・瓦・金属屋根など、どの素材も一定のコストがかかるのです。
4. 工事内容が大がかり
単なる修繕で済む場合もあれば、下地補修や全面葺き替えが必要な場合もあります。特に「葺き替え工事」は既存屋根の撤去費用もかかるため高額になります。
屋根リフォームの代表的な工法と費用相場

屋根リフォームには大きく分けて 「塗装」「重ね葺き(カバー工法)」「葺き替え」 の3種類があります。
1. 屋根塗装(メンテナンス工事)
- 費用相場:40〜80万円
- 工事内容:既存屋根を残したまま塗装を行い、防水性・耐久性を高める。
- メリット:費用が比較的安い/工期が短い(1〜2週間)
- デメリット:根本的な劣化には対応できない/耐用年数は約10年
2. 重ね葺き(カバー工法)
- 費用相場:80〜150万円
- 工事内容:既存屋根の上に新しい屋根材を被せる工法。撤去費用が不要。
- メリット:工期が短い/廃材処分費がかからない
- デメリット:屋根が重くなるため耐震性に注意/下地が傷んでいると不可
3. 葺き替え工事(全面リフォーム)
- 費用相場:120〜250万円
- 工事内容:既存屋根材を撤去し、下地から新しい屋根に交換。
- メリット:耐用年数が長い(20〜30年)/屋根下地も補強できる
- デメリット:費用が最も高額/工期が長め
屋根材別の費用相場と特徴
屋根リフォームの費用は、使う素材によっても大きく変わります。
スレート屋根(コロニアル)
- 費用相場:カバー工法 80〜120万円
- 特徴:軽量でデザインが豊富。コストパフォーマンスが高い。
- 耐用年数:15〜20年
瓦屋根(日本瓦/洋瓦)
- 費用相場:葺き替え 150〜250万円
- 特徴:耐久性が非常に高く、断熱性・防音性にも優れる。
- 耐用年数:50年以上(定期メンテで半永久的)
金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
- 費用相場:カバー工法 100〜150万円
- 特徴:軽量で耐震性に優れる。錆びにくい素材。
- 耐用年数:20〜30年
アスファルトシングル
- 費用相場:カバー工法 80〜130万円
- 特徴:北米で普及している素材。軽量でデザイン性が高い。
- 耐用年数:15〜20年
見積書に含まれる主な項目

屋根リフォームの見積書は、以下のような項目で構成されています。
- 足場費用:20〜30万円
- 既存屋根撤去費用(葺き替えの場合):20〜40万円
- 屋根材費用:50〜100万円以上(素材による)
- 施工費(人件費):30〜70万円
- 廃材処分費:10〜20万円
- 諸経費(現場管理費など):全体の5〜10%
これらを合算すると、最終的に100万円を超えるケースが多いのです。
「なぜ高いのか?」を理解するためのチェックポイント
屋根リフォームの見積もりを受け取ったら、以下を確認しましょう。
- 工法は塗装・カバー・葺き替えのどれか?
- 足場費用が含まれているか?
- 屋根材のグレードは?(スレートか金属か瓦か)
- 下地補修費が別途かかるのか?
- 保証期間はどのくらいか?
見積書をただ「高い・安い」で判断せず、費用の内訳を理解することが大切です。
屋根リフォームを少しでも安くする方法
- 外壁塗装と同時に行う
→ 足場代が1回で済むため、20〜30万円の節約に。 - 補助金を活用する
→ 省エネリフォーム補助金や自治体の助成金をチェック。 - 複数社に見積もりを依頼する
→ 同じ工事内容でも業者によって数十万円差が出ることも。
まとめ:屋根リフォームの「高額さ」の正体
屋根リフォームが高額になるのは、決して業者の言い値ではなく、
- 足場設置の必要性
- 高所作業のリスクと人件費
- 屋根材のコスト
- 下地補修や撤去費用
といった理由が積み重なっているためです。
工法(塗装/カバー/葺き替え)や素材(スレート/瓦/金属)によって費用は大きく変わりますが、見積もりの仕組みを理解することで納得感を持って判断できるようになります。
屋根は住まいを守る最前線。安さだけに惑わされず、耐久性・安全性・保証をしっかり比較しながら、最適なリフォーム方法を選んでください。